第4話 IN FACT
英語の時間、ペアを組んで、好きなものを紹介しあうという何となく難しいものをしなきゃいけない。僕の好きなものとか特に無いな。と思って、先に筑紫野さんに言わせることにした。じゃんけんは最初パーを出すと勝率が上がる。それを筑紫野さんは見抜いてると予測して…グー!!
筑紫野さんの顔が、お前はもっと素直なやつだと思ってたよの顔になる。
フッ悪かったな。僕は何度あなたに騙されたと思ってる。今日は筑紫野さんにはじめて勝った記念日だなとほくそえんでいると、筑紫野さんにしては珍しくおとなしく話し始めた。
『I like...Mr,matsueda.』
衝撃的な告白。英語の時間に。しかも僕に。What?
『フフッ驚いてるみたいだね。もうばれてるかと思って言っちゃった。』
『い、いや、なんでそうなるの?全くそんな素振り無かったじゃない!二重の意味で!』
『?』
『1つ、何故松枝なのか、
2つ何故僕が分かってると思ったの』
『じゃんけん勝ったから、ついに私の思考を理解してくれたかと…』
ブッ飛びすぎじゃない?話が。
落ち着いて次の質問をする。
『なんで松枝?片朴の方がよくね?』
『だって松枝君顔カッコいいし、なに考えてるか分からないし…優しいの』
確かに松枝はきりっとしているけど、
『なに考えてるか分からない?どこが?』
『勉強してないのに点数いいし、時々笑ってるのに寂しそうに見える瞬間があるの。それにどんなこともポジティブに出来るし、凄く誉めてくれるの。』
くそ、身振り手振りと情熱的な口調によりだんだん魅力的に思えてきた。
理解した、あの顔はお前はもっと素直なやつだと思ってたよの顔じゃないんだ。覚悟の顔だったんだ。ふくよかで柔らかい笑顔で腹の中を読ませない筑紫野さんが、人心掌握に長けたあの筑紫野さんが、僕に言っちゃうレベルで焦ってる。ということか。
『友達に言った?』
『ううん、君がはじめてだよ。』
『君がちゃんとしてるの5歳から知ってるから。』
まだ諦めたくない。彼女の恋心が自然に冷めるのを待とう。そのときまでに、いい男になって待っておこう。
心理戦開始。
と心の中の筑紫野さんにつたえておく。
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