聖魔導士、現代ダンジョンで無双する
きよすいようはねた
落ちこぼれの集まり
第1話 追い出された!?
僕は
高校一年生だ。
言うまでもないことだが、僕の職業は高校生ということになる。
しかし僕にはもう一つの職業がある。
10年ほど前、僕が幼稚園に通っていたころ、突如として世界中にダンジョンが出現した。
異世界設定物として有名なダンジョンだが、この世界では現実に存在している。
ダンジョンができたはじめは世界中を大いに沸かせた。
各国で天然資源が枯渇していく中、未知の産物であるダンジョンが出てきたからだ。
それだけにとどまらずダンジョンが出現した地域の周辺には、それまでこの世界には存在しなかった物ができていた。
ポーションなんかもその産物の一つだ。
それまで怪我をすれば治療費を払い、人としての回復能力に期待するしか方法がなかったのに対して、ポーションはそれを瞬時に治してしまう効果を持っていた。
なかには完治不可能とされる怪我すらも治せるものもあった。
世界中のスポーツ選手や政治家が求めた。
スポーツの世界では怪我は起こりうる。
その中で現代医療では完治不可能とされる怪我すらもポーションは治してしまうのだ。
政治家は国によっては命を狙われる職業だ。
それゆえにもし殺されそうになったとしてもポーションがあれば助かる可能性はあがる。
なんにせよ、ダンジョンはこの世界に希望をもたらすかと思われた。
しかしダンジョンは弊害もあった。
はじめのうちは各国の軍隊や民間の軍事企業が攻略に乗り出したが、現代兵器はほとんど役に立たなかった。
それだけにとどまらず、ダンジョンで生まれたモンスターが溢れかえるようにして町中を襲うことすらあった。
先進国や大国は軍事力に物を言わせて制圧ができた。
しかし小国はそうもいかなかった。
小国は苦肉の策として核弾頭を使ってでもモンスターやダンジョンを消滅させようとした。
しかしダンジョンはあまりに強すぎた。
モンスターを制圧することはできたが、ダンジョン自体を消滅させるには至らなかった。
小国によっては核弾頭を使った影響の方が大きく、人が住めない土地になってしまったところも少数ながら存在する。
もちろん短時間であれば人が活動することはできるが、高い放射能性物質で汚染された土地はそこに長時間人が住むことができない土地になってしまった地域もある。
幸いにも日本はそのような結果にはなっておらず、ダンジョンからモンスターが溢れかえる事件が発生して以降、定期的に間引きが行われるようになり、ある程度の安全性が確保されるようになった。
それと同時にダンジョンに言った人が特殊な能力を発揮できるようになった。
何の因果かは未だに判明していないが、ダンジョンの周辺では特殊な力場が働いているらしく、
そのエリアに入ればそれまではなかった未知の力を発揮できるようになる。
そしてそれと時を同じくして、冒険者という職業が生まれた。
冒険者は小学校を卒業すると一応資格が得られる。
尤も18歳以上になるまでは親の許可が必要にはなるのだが。
僕も友人たちと冒険者を目指した。
勿論、必ず帰ってくること、そのために無理はしないこと。
学業が本文の為そちらを最優先することを条件にだ。
一攫千金を狙える冒険者はこの世界で次第に浸透していくことになった。
今現在中高生の少年少女たちは、今となっては冒険者としての職業を持っていない人を探す方が難しいくらいに冒険者が増えている。
そして僕は友人たちとパーティーを組むときにビショップを目指すことにした。
ビショップとは聖魔法の扱いに長けており、主に回復やバフをはじめとする支援魔法に特化していると言われている職業だ。
反面火力には乏しくお荷物扱いされがちな不遇職とされている。
それでも僕はビショップを目指した。
理由は友人たちの職業が原因だった。
剣士、拳闘士、槍使い、双剣使い、槌使い。
見事なまでの前衛型で突貫あるのみって感じの職業だったからだ。
これでは何かあった時に全滅してしまう。
僕は友人たちを守るために、サポート職としては優秀なビショップを目指すことにした。
一般的に高校生はCランクまで上がることができていれば超優秀とされている。
Gランクからスタートする冒険者だ。
1年で最低でも1年、通常なら2年はかかると言われている。
そのため高校卒業時にDランクくらいでも優秀とされることがあるくらいで、
通常ならEランクが当たり前とされている。
そんな中僕たちはいよいよBランクに上がった。
高校1年生でありながらだ。
感慨にふけりながら帰還し拠点としている場所に着くとリーダーから言われた。
「武。お前は今日でクビだ」
「え?・・・なんで?」
「なんでじゃねえよ。お前だけ攻撃力が低すぎるんだよ。そのうえパーティー組んでるから経験値も吸収しやがる。俺たちのスネにかじりつかれていて迷惑なんだよ」
口々に批判してくる彼ら。
この様子では説得は無理だろう。
あきらめて彼らの命令を受けることにした。
「わかったよ。パーティを抜ける手続きの書類ができたらもってきて。サインするから」
その言葉を皮切りに口々に貶してくる。
「あばよ」
「ようやく雑魚がいなくなったな」
「ようやく重荷をおろせたな」
「これから俺らの時代だぜ」
その言葉聞いて愕然としながら彼らが僕のことをどう思っているかがよく分かった瞬間だった。
彼らの為を思って戦闘支援職に就いたというのにこの仕打ち。
あんまりじゃないか・・・
この上ないほどに落ち込んだ僕はいつの間に帰宅していたのかもわからないまま、自宅に着いた。
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