第5話『炊き出し』

 

 ノーマルラビット討伐から5時間後。

 学校には、多くの外部に人たちが避難しに来ていた。

 俺達はいうと、食堂で炊き出していた。


「どうぞ」

「ありがとう」

 

 俺は、陽介と善司で、避難している人たちに飲料水を渡していく。

 そして、配り終える。



「そろそろ、俺達も食事にしようぜ」

「そうだな」

「そうでござるな」

 俺たちは炊き出しの列に並ぶ。


「食堂は満杯だな」

「そうだな」

「そうでござるな」

「なあ、どこで食う?」

「教室でいいんじゃないか?」

「いいでござる」


 俺たちは食堂でオニギリと味噌汁を受け取り、俺達の教室に向かう。

 教室に到着し、中に入る。

 教室には生徒の半分がいた。

 俺達は適当に席に座る。


「はあ~、マジで大変な事になったな」

 陽介はため息をもらす。


「そのわりには、余裕そうな顔してるじゃないか」

「そう見えるか?」

「ああ」


「まあ、ノーマルラビットぐらいのモンスターだったら、なんとか上手く、戦えるじゃねぇかと思うんだ」

「なるほどな」

「それに、さっきのウサギを30体、倒せば200万円がもらえるんだぞ? それって、超ラッキーじゃねぇ?」

「まあな」

「拙者も幸運だと思うでござる」

「だよな」

 陽介はうれしそうに頷く。


「けどよ、笹倉先生がいうに、ウサギより強いモンスターがあらわれたら、どうするんだ?」


「そうだな。逃げる」

 俺は思わず吹き出す。


「ははは、そうだな。確かに格上なら逃げるが一番いいかもな」

「ルールでは逃げては、いけないとは言ってなかっただろう?」

「そうだな」

「逃げるが勝ちですな」

「そうだぞ」

 陽介は大仰に頷く。


「あのさ、思ったんだけど、自衛隊はこれないのかな?」

「まあ、そのうち来るだろ?」

「来るでござるよ」


 二人はのんきに言う。

 まあ、俺や仲間がいるかぎり、この学校は安全地帯だけどな。


「スマホで調べたけどよ。日本全国にモンスターがあらわれてるらしい、自衛隊は続々と市民を救っているみたいだぞ」

「拙者らの県で一番、近い基地から、来るでござるよ」

「そうだよな」


 おそらく、3日後くらいには来れるかもしれない。


「ま、俺がいるからな。この学校は安全だ」

 陽介は胸をはり、右手で胸を叩く。

「はいはい、そうですね」

 俺は呆れた顔で言い、水を一口飲む。

「それに、お前も、善司がいるから大丈夫だ」

「そうでござるな」

「二人とも、調子乗りすぎ」


 といいつ、俺は嬉しいと思った。まあ、そんな事を言ったら、陽介はもっと調子に乗るだろうから言わないが。

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