第76話 春山さんからのお礼 1

【はじめに】


 本日、作者は本作のリメイク版を投稿しました。


 詳しくは後書きに記載しております。


 一読のほど、よろしくお願いします<(_ _)>



*****



 情熱⚪︎陸が放送された数日後。


 俺の家に私服姿の春山さんが、紙袋を持って訪ねて来た。


「お、お久しぶりです」


「はい。お久しぶりです」


 事前に来ることは聞いていたため、俺は春山さんを家にあげる。


「こんにちは。美月さん、紗枝さん」


「ん、こんにちは」


「こんにちはー!春山さん!」


 そして春山さんに美月と紗枝も挨拶をする。


 俺は春山さんを椅子に促し、お茶と茶菓子を用意して問いかける。


「今日はどのような要件で来られたのですか?私服ということは仕事関係ではないんですよね?」


「はい。実は裕哉さんにお礼がしたいと思いまして……」


「お礼ですか?」


 俺は春山さんから礼をもらうようなことをしてないため、首を傾げる。


「は、はい。テレビ収録の時、裕哉さんはモンスターから私を守ってくれました。その時のお礼です」


 そう言って春山さんが手に持っていた紙袋をテーブルに置く。


「裕哉さんは女装が好きと聞きました。ですが、女物の服を買う勇気がなく、今まで美月さんや紗枝さんに買ってもらってることを聞きました」


「………」


 俺は美月と紗枝を見る。


 すると俺から目線を逸らし、吹けもしない口笛を吹き始める。


(やりやがった!あの2人っ!)


「そ、その……収録の時は助けていただき、ありがとうございました!」


 そう言って俺の前に紙袋を出す。


 チラッと中身を見ると、想像通り、女物の服が入っていた。


「この服は私が選びました!是非、使ってください!」


 頬を少し赤くして、春山さんが差し出す。


「あ、ありがとうございます……」


 ここまでされて要りませんとは言えない俺は、素直に受け取る。


「私、女装が趣味でも裕哉さんのこと嫌いになりません!むしろ、女装した格好で配信されることに尊敬すら感じます!」


(そんなところで尊敬せんでいいわっ!)


 そう叫びたい。


「私、この服を着て配信されるのを楽しみにしてます!」


 そう言って春山さんが立ち上がる。


「要件はこれだけです。お忙しい中、ありがとうございました」


 そして玄関に向かって歩き出す。


 その姿を見つつ、俺はアホ2人に向けて言う。


「おい、お前ら。後で話があるからな。逃げんじゃねぇぞ?」


「きゃー!犯されるー!」


「ん、ベッドで待ってるから」


「ここで待ってろ!」


 俺はアホな2人に待機命令を出して、春山さんを追う。


「お礼が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。少々、お礼の品を選ぶのに手間取ってしまって……」


 そう言って恥ずかしそうに照れる春山さん。


「こ、今度は一緒にダンジョンを探索しましょう!私、裕哉さんの足を引っ張らないよう、冒険者として腕を上げてきますから!」


「わ、分かりました。その時は誘ってください」


「はいっ!」


 そう言って嬉しそうに春山さんが俺の家から出る。


 その姿を見送った俺は、アホ2人が待つ部屋に向かう。


「で、何か俺に言わないといけないことがあるだろ?」


「ん、春山さんが買ってきた服はいつ着るの?」


「それを着てダンジョンを探索するところが見たいなー!」


「そうじゃねぇだろ!」


 俺は2人に向けてツッコむ。


「お前ら、いつの間に春山さんと仲良くなったんだよ!」


「ん、それは秘密」


「女の子だけの秘密だよー!」


「ちっ!」


 そう言われると聞くことができない。


「あ、でも、女装したら教えてあげるよ!女の子だもんね!」


「女の子だけの秘密って簡単に聞き出せるんだな」


 女装したら秘密をバラすというのはアウトだと思う。


「そんなことより、ユウ。春山さんはその服を着てダンジョン配信するのを楽しみにしてる」


「そうだね!その期待は裏切れないよ!」


「うっ」


 その通りなので言葉に詰まる。


「その服を着て配信しなかったら、私が買った服は気に入らなかったのかもって春山さんが悲しむかもしれないよ?」


「うっ」


 これまたその通りなので言葉に詰まる。


「はぁ、今回だけだぞ」


「わーいっ!」


「ん、さすがユウ」


 楽しみにしているかもしれない春山さんを裏切ることのできない俺は、今度、春山さんが買ってくれた服を来て配信することにした。




*****


【リメイク版について】


 本日、作者はこの作品のリメイク版を投稿しました。


 理由としては、女装を受け入れて読んで下さった読者様が少なく、女装を理由に読むのをやめた方が多数いらっしゃったからです。


 そのため、リメイク版では裕哉が裕哉ちゃんにならなかった世界を書こうと思っております。


 正確には、裕哉が女装する原因となった『閃光』ギルドに所属せず、『ギルド対抗戦』に参加しない世界となります。


 リメイク版では18話までは本作と同じ流れになりますが、19話から本作と違うストーリーとなります。


 また、リメイク版の1〜18話は本作にてアップしている話に加筆修正を加えております。


 再度、1話から読んでいただけると嬉しいです。




 また、本作につきましては、このまま女装主体の作品として書き続けて参ります。


 誠に勝手ながらではございますが、新作(リメイク版)の方もよろしくお願いします<(_ _)>


【リメイク版】


https://kakuyomu.jp/works/16817330668215656342/episodes/16817330668215915713

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