第十六話ー呼び出しー

作られた暖かさに気づいた日から少し経った頃。急に放送がなった。

「今から呼ぶ人は職員室前に来てください」

クラスメイトの名前が次々に読み上げられていく。心子と海里は察した。

(仲直り…?)

(今の由菜にできると思えないけど…)

「…由菜さん。以上です。」

由菜の名前が最後に読み上げられた。

「……いやだ。あいつらに会いたくない」

由菜は逃げ出したかった。でも、逃げ出したらどうなるかわからない。

「由菜?職員室前までならついて行ってあげるけど?」

その時、関係のないクラスメイトが話しかけてきた。

「海里ー心子ーお前らも行かないとダメだってー」

「…!」

由菜の目が輝いた。(一人じゃない)

「いこっか…何があるかわからんけど」

「うん…行くしかないよね」


職員室の前では、鬼の形相をした先生たちが立っていた。

「あいつら遅いな」

「由菜は仕方ないと思います。海里と心子も呼び出してよかったですね」

「そうだな…」


「ごめんなさい遅くなって!」

「すいません…」

「……遅くなってしまいごめんなさい」

3人は謝った。

「別に大丈夫。じゃあ相談室へ」

3人は先生に連れられ、相談室へ向かった。すると彼らがいた。

「え…」

息を呑んだ。そう、彼らが持っていたのは由菜のノートではなかった。使った凶器だけだったのだ。

途端、由菜の声のトーンが変わる。

「おいお前ら。私のノートどこやったんじゃ」

「…燃やした」

「「「は?」」」

由菜たち3人は一斉に疑問符を浮かべた。

「え?どう言うこと?」

「言葉の通りだ。燃やした」

心子と海里は何か思う顔を浮かべていたが、由菜は違った。彼らの方を見て動かない。

「由菜さん、座ってください」

先生が促す。でも、応じない。

「由菜ー座ろ?」

「…こいつら、殺したい」

いきなり物騒なことを言い始めたかと思うと、

「こいつらは…なんで」

と疑問を浮かべたりした。情緒不安定だ。

「由菜さん。とりあえず座りなさい。何かするにしろ話をききましょう」

「…はあ。」

「もー由菜!座ろー?ね」

心子に腕を引っ張られ、座らされた。途端、前に座っている犯人の1人と目が合う。彼は美形で、結構モテてると噂がある。

(こいつも犯人だと思っていたけど、まさかやるとは…)

海里は心の中で思った。彼はやはり裏切りだったと。

先生は子供たち全員を見てから、こういった。

「では、話し合いを始めます。」

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