第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

成董

ウィスキーの 甘さで灼ける のどの奥 波に浚われる 夢を見た

スコッチを少々、グラスに注ぐ。ふわりと香りが広がるのを楽しみながら口に含んだ。はじめに強く感じた甘みを追いかけ酒精の刺激が喉へ落ちていった。ブルートゥーススピーカーからはポップソングが終わり、「海」が薄く流れ出した。ふわふわとした体が波の調子をとるように揺れる。引波が己を流していってそのまま僅かな砂とともに青に引きずり込む。すっかり水面から離れたと思えば次の瞬間には白波が体を押し上げた。それからゆっくりとさらに深くふかく沈んでいく。そのまま水底まで流されてしまいたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る