第4話(3) カチカチ山の恨みがある
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きつねうどんを汁を最後にすすって、実に気が進まないとばかりの渋面で狐は言った。
「人間、明日私に付き合え」
「え? ボク? なにやらされるんダイ? 死体運ぶのはヤダよ~、重たそうだモン」
「違う、たわけ。運ぶだけなら私の術で容易く出来る。だが、ただ運んで場所を変えるだけでは話は解決しないだろうが。人間どもが見つけられずにいるのが問題なだけだ。あんな分かりいい場所にそれとなく捨ててやったというのに……」
ぶつぶつと文句を転がして、不快げに狐の銀色の耳が揺れた。
「いいか、人間。お前には、死体の第一発見者になってもらう」
遺棄を行ったのは、最初に捨てられていた山の奥などでなく、キャンプ場のそば近く。関係ない第三者が見つける可能性が十分にあるところだ。それこそ、何も知らない外人登山客が、うっかり見つけて驚いて警察に通報しても、なにもおかしくない。
「山の管理者として私に声がかかる可能性もあるが、初対面の知らない者同士で通せよ」
事情聴取は面倒だが、無関係なことが伝われば、さして時間はとられないはずだ。第一発見者の場合は多少長引くかもしれないが、そんなのは狐の知ったことではない。
さっさと厄介ごとは手放すに限ると、狐は、明日ですべてを終わらせる算段でいた。そしてよほどのことがなければ、それはもくろみ通りそうなった――のだろう。よほどのことが、なければ――
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