誘い
勝利だギューちゃん
第1話
彼女が死んだ。
クラスメイトの女子。
皆が泣いていた。
形だけではなく、本心からだろう。
彼女と言っても、恋人の意味でなく、文字通りの意味。
つまり、3人称の彼女。
仲はわりと、良かった。
でも、それだけだった。
葬儀の日は、日本晴れだった。
彼女は晴れ女だった。
「私、雨雲には嫌われているの」
冗談ぽく話していた。
でも、本当だったみたいだ。
なぜなら、前日は大雨だったのだ。
彼女が旅立つ瞬間、一頭の蝶が僕の肩に止まる。
この蝶、庭でよく見るな。
確か名前は・・・何とかタテハ
「蝶はね、死んだ人の魂なんだ」
彼女が教えてくれた。
そして、蝶は飛び立つ。
まるで僕を誘導しているようだ。
僕は、その蝶の後を追う。
そして、神社にたどり着く。
鳥居には、一話の鳥が止まっていた。
「来てくれたね」
「そっちが来てくれと言ったんだろう」
「ばれた?」
僕には、霊が見える。
そして、今は霊となった彼女と話している。
あの鳥は彼女を迎えに来たのか?
「私、死んじゃった」
「明るく言うね」
「泣いても生き返れないしね。それに、あの世の存在は知っているから」
笑ってはいるが、やはりまだ未練があるのだろう。
「で、要件は?」
「呼び出す理由は、ひとつしかないでしょ」
「告白?」
「ピンポーン」
笑顔で答える。
その時、鳥居の上にいた鳥が、こちらへと来る。
「そろそろ、行きましょうか?」
「えっ、もう?」
「時間がありません」
「私死んだのに?」
「時間がないのは、私です」
「ケチ」
「ケチではありません」
何を言い合っている?
「じゃあ、いずれ向こうで会おうね」
「わーったよ」
「あっ、そうそう。ひとつだけ君のお願い」
「何?」
再び、蝶の姿となった彼女が、僕の肩に止まる。
「もし、将来君に子供が出来たら、私の名前をつけて」
「君の名前?僕の子供が男だったらどうする」
「大丈夫。女の子で決まっているから」
そういうと、鳥と共に大空へと羽ばたいていった。
それから、十数年後に僕に子供が出来た。
女の子だった。
「名前考えてくれた?」
「ああ。一応は・・・
「何て言うの?」
【ルリと言うんだ】
誘い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます