第14話 才能ないんじゃない?

 さて、目標は決まったけどどうしたものか……。朱音に聞くのが一番早い道のりではあるけど、それだと面白みに欠ける。


「とりあえず武器決めようかな」

「お、いいねえ。ある程度の武器なら私持ってるよ?」

「まじか。貸してくれたり?」

「もちのろん!」


 そういえば朱音は大体何でもできるんだったっけ。だからいろんな種類の武器を持ってるんだ。

 まず朱音が取り出したのは弓だ。木製で何の変哲もないただの弓のように見える。


「まずはこれかな。初心者用の弓。今ブルーが持ってる剣と同じ系統のやつ」


 はい、と渡された弓を持ってみる。初めて使う武器だからか、いまいちしっくりこないというか、なんというか。多分自分には合わないだろうな、ということがなんとなくわかる。


「あの木狙ってみて」


 朱音が示す先にある巨木に狙いをつけて、弦を引き絞る。しっかりと狙いを定め、弦を開放。風切り音を響かせながら矢は巨木へ向かい飛んでいく。


「あちゃー」


 が、矢は巨木にかすりもしなかった。

 まじですか。三人くらいの横幅があるあの巨木にかすりもしないって。距離もそんなに離れてないし。


「弓の才能はないっぽいね?」

「持った時からちょっと違う気がしてたんだよね。うん」

「言い訳乙」


 じゃあ次はこれね、と差し出されたのは……なんだこれ?


「なにこれ?」

「ん? トンファー」

「トンファー?」


 長い棒に短い棒がくっついたものが二つ。トンファーというらしい。初めて見た武器だ。どうやって戦うんだろう?


「打撃武器だからね。こうやって持って、こう!」


 ジェスチャーで使い方を教えてくれているが、よくわからない。けれど物は試しとトンファーを装備して、朱音の見よう見まねで素振り?をしてみる。


「あっはは! なにそれ!」


 爆笑された。ちゃんとまねしたつもりなんだけどな。


「まあトンファーの技能が出た人って聞いたことないから無理だよねぇ」

「じゃあなんで渡したの?」

「面白そうだから?」


 そもそもなんでトンファーなんて武器持ってるんですかね。技能があるならまだしも、誰も持ってないんでしょ?

 この後も朱音に武器を貸してもらいつつ、自分に合った技能を探し続けた。

途中から朱音の【オーラ】を切ってもらい、モンスターとの戦闘もした。朱音のいう通り、この場所はそこまで強いモンスターがいるというわけでもなく、朱音の手助けもありながらだけどちゃんと勝てた。


そして数時間後。


「出ないねー」

「全部何か違うって感じなんだよなー」


 結局これといった武器は決まらなかった。

 いくつかこれかも?って思う武器はあったんだけど、いくらそれを使っても技能は出てこなかったし、使用感はもともと使っていた剣と同じ感じだったから、朱音も才能ないんじゃない?と言ってきたほどだ。


「もしかしたらまだ誰も使ってない武器の才能があるのかもよ?」

「えぇ……普通に剣とかでいいんだけどなぁ」

「まぁ見つかるまでは剣でいいんじゃない? 新しいの見つけたら試していくって感じで」

「そうするしかないか」


 新しい未知の技能。そう言えば聞こえはいいけど、つまりはやみくもに探していくしかないってことだ。


「そう落ち込む必要ないって。どんな武器でも時間さえかければちゃんと技能が会得できるって証明した人いるし」

「うん、頑張ってみる」

「私も何か見つけたら教えるね」

「ありがと」


 目標が一つ増えた。自分に合った武器を見つけること。


「あ、そうだ」

「ん?」

「ついでだからあと何個か技能会得していこっか」

「できるの?」


 夕方から初めて移動だったり武器の練習だったりでかなり時間が経過している。まだ深夜とまではいかないだろうけど、あまり時間がかかるようだと明日に支障が……って、明日は休みだった。慣れないなぁ。


「武器ほど個人差があるわけじゃない技能だしね。【採取】よりは時間かかると思うけど」

「じゃあ教えてもらおうかな」

「おっけー。じゃあまずはね……」


 朱音のいう通り、それほど時間をかけずにいくつかの技能を会得することができた。


-ステータス

・所持技能

 【採取】【空間記憶】【魔力感知】【気配感知】【遠目】

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