第15話
澪奈のことについて調べていると、ネットの掲示板に到着した。
ここには澪奈や花梨、麻美のことがまとめられていたので、確認してみる。
『スピードフォーク』の『ライダーズ』について語るスレ7
123:名無しのファン
『ライダーズ』に関してのまとめ
・花梨、麻美は『スピードフォーク』に残り活動継続
・澪奈は無所属での活動
・花梨、麻美の移籍後生放送。酷い。わりと放送事故。
・澪奈はこれからは冒険者メイン? 初めての動画は迷宮での戦闘
今のところこんなくらい?
124:名無しのファン
澪奈ってあの事務所で一、二を争う可愛い子じゃなかったか?
125:名無しのファン
好みはあると思うけどかなり可愛い。あとあのクールな感じがいい。踏まれたい
126:名無しのファン
つーか、花梨麻美の昨日の生放送やばくなかったか?
127:名無しのファン
あれね
澪奈が辞めたことについて馬鹿にしてたし、すげー印象悪い
二人まったく話せないのに、馬鹿にするときだけは呂律が凄い回ってるとか
挙句マネージャーが台本作ってくれないとか、カンペ出してくれないとかわがまま放題言いまくってたじゃん
128:名無しのファン
印象悪かったわ。今までどんだけマネージャーにおんぶにだっこだったんだ?
129:名無しのファン
あともうずっとTwotterで呟きないよな? 何してんだ?
130:名無しのファン
昨日とか今朝とかに上がった澪奈の動画見た? なんかいつもよりも三割増しで可愛く見えないか?
131:名無しのファン
めっちゃ笑顔が可愛くなってて草。やっぱ事務所で色々あったんだろうなぁ
132:名無しのファン
腫物が落ちた顔ってまさにそうだったよな
名無しのファン
澪奈と一緒にマネージャーも退職したらしいな。澪奈の動画見たけど、今はそのマネージャーと一緒に活動してるって
133:名無しのファン
>>132
マジで? 花梨、麻美の感じだとマネージャーが色々サポートしてたみたいだし澪奈についているのなら安心か?
でも、どっちにしろ迷宮攻略ってなると心配だな……
134:名無しのファン
澪奈、めっちゃええ子やん
なんでチャンネル名にマネージャーの名前あるの? って思ってたけど、そういう理由か
135:名無しのファン
【悲報】マネージャー無職童貞をバラされる
136:名無しのファン
澪奈に無職童貞って罵倒されるの……イイ
137:名無しのファン
マネージャーどうやって生活するんだ? 童貞はともかく無職でまだ収益化もされてないんだしまずくないか?
138:名無しのファン
まあ、マネージャーはともかく、動画の投稿頻度は維持してほしいな
無所属で今くらいの迷宮の配信だとあんまり見られないだろうけど、ファンとしては応援したい
139:名無しのファン
なんかマネージャーの部屋に迷宮出たってマジ?
140:名無しのファン
動画見たけど狭い部屋にがっつりあって草
141:名無しのファン
マネージャーの部屋めっちゃ狭くない?
142:名無しのファン
迷宮攻略してるときに終電当たり前とか澪奈が話していたけどマジブラックなんだな……
143:名無しのファン
とりあえず、ファンとしては澪奈が前よりもイキイキしているように見えてよかった
落ち込んでるかと思っていたからなぁ
144:名無しのファン
あとは澪奈が迷宮一人で入っているからそこだけが不安だな
マネージャーいるとはいっても撮影がかりみたいだし……
……まあ、色々あるけどファンの人たちは応援してくれているようだな。
澪奈の動画に関しては、澪奈のからかいもいい感じに作用しているようだ。
わりとマネージャーである俺の存在も受け入れられているので、多少生放送のときなどに会話しても問題はないかもしれない。
まあ、あんまり仲良く話していると問題も出てくるので限度はあるだろうけど。
とりあえず。
今の俺がやるべきことは強くなることだな。
情報収集がてら迷宮攻略をしていた俺だが、七階層から八階層につながる階段前に到着していた。
ここまでに用いた時間はおおよそ一時間。
……そろそろ距離も出てきたのでアイテムを使って移動したくなってきたが、1万ゴールドだからな。
まだまだ節約しておいたほうがいいだろう。
そんなことを考えていると、俺のスマホに通話がかかってきた。
連絡先は……花梨? 一体どうしたのだろうか?
出る理由はもうないのだが、それでも一応担当していた子たちだ。
……もしも、何か悩みがあるのなら話くらいは聞こうかという気持ちもある。彼女たちだって、まだ高校生なんだし……あの場では言えなかった本音もあるかもしれない。
「もしもし……花梨? どうしたんだ?」
『あっ、元マネージャー、久しぶりー』
「久しぶりだな……。どうしたんだ?」
『いや、昨日澪奈の動画見たんだけど……ウケる。全然登録者いないじゃん!』
馬鹿にしたような笑いは、花梨だけではなくもう一つ聞こえる。
麻美だろうか? それと男の人の声も聞こえる。
しばらくこちらを馬鹿にしたような笑いは続いたあと、高野の声が聞こえた。
『よっ、茅野』
「……久しぶり。今日は花梨たちも仕事なのか?」
平日なので、学校に通っているものだと思っていたが一緒にいるのなら仕事中かこれから仕事なのだろう。
『まあな。そうだ。茅野。澪奈に伝えておいてくれないか? そっちで苦しかったら戻ってこいって。オレから連絡しても一切繋がらなくてさ。困ってたんだよ』
「それで俺にかけてきたのかよ……」
『そういうわけだ。二人で活動開始したみたいだけど、おまえ才能も業界にコネもないんだし、まず無理だと思うけどな』
「それは、まあ何とかやるよ」
『努力だけで何とかなるような業界じゃねぇんだけどな。ていうか、おまえ高校生の収益にたかるためにあのチャンネル名にしたのか? マジ終わってんな』
馬鹿にするような笑いに、さすがに俺も何も感じないことはない。
苛立つ気持ちはあったが、それでも怒鳴りつけたところで何かあるわけではない。
一時、俺の気持ちが治まるくらいでそのあとには虚しくなるだけだろう。
一度深呼吸して自分を落ち着かせてから問いかける。
「……別に。もういいか?」
これ以上話していても仕方ない。
俺が通話を切りたいオーラを出すと、向こうも雰囲気から察したようでゲラゲラ笑いながら答えた。
『ああ、用事は済んだからな。そういうわけで、じゃあな無職』
『マジウケるわー』
『ほんと、これからどうするんだろうね。馬鹿じゃん』
……そこで、通話は切れた。
電話を終えた俺は、自分のスマホを握りしめながら、俺は八階層目指して進んでいく。
高野に、負けてたまるか。
絶対、澪奈をMeiQuberとして成功させてみせる。
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