5🏡ナオが消えた💓

オカン🐷

第1話 ナオはどこ?

「やっぱりナオさん、いないのか?」

「うん、スマホも財布も置きっぱなし」

「どこ行ったんだ、なあ、ルナ、ママどこ行ったんだろうな」


 レイが抱いている2歳になるルナに話しかけた。


「まま、まま」

「そうか、おまえもママに会いたいか」

「まま、まんま、まんま、ぶうー」

「お兄ちゃん、ルナはまんまが欲しいの。さっき食べたばかりだから、気持ちをそらしてたのにい。もう余計なこと言ってえ。ちょっとヤマさんに何かもらってくる」


 一平はルナを預けられて、両手で受け取った。


「まんま、まんま」

「そうか、そんなにお腹が空いたのか。今、レイおばちゃんが何か持って来てくれるからな」


 ルナの表情が変わった。一平の方に指先を伸ばしてくる。

 一平のシャツのボタンを外し出した。

 はずし、はずしって、


「おい、それは大谷家の伝統なのか」


 ルナの気がそれるのはいいことだが、ルナの兄遼平も小さな頃同じことをしていた。

 一平のワイシャツのボタンを1つずつ外していく。


「ルナちゃん、まだ熱いからちょっと待ってね」


 レイがウサギの柄の白い器をフーフーと冷ましている。


「まんま、まんま、ぶうー」

「うん、ちょっと待ってね」

「おい、そのぶうーって何だ」

「リョウくんたちがそう言ってからかうの」


 一平は鼻をクンクンさせた。


「それ、ナオさんの作ったビーフシチューだろ」

「うん、ナオさん、昨日の晩から煮込んでいたの。ところでお兄ちゃん、その紙包みは何?」

「えっ、知らないよ」

「でも、一平さんへって書いてある」


「まんま、まんま、ちいー」

「えっ、ルナちゃん、ちいーなの? ちょっと待って」


 レイはウサギの容器を一平に渡し、ルナを抱きかかえてトイレに飛び込んだ。


 リビングのテーブルに置かれた紙包みは、配送業者が配達した物ではなかった。


「ルナちゃん、よくできました」


 レイが手を叩くとルナも真似して叩いてる。


「ルナちゃん、良い子、良い子。お兄ちゃんも誉めてあげて」

「ああ、ルナは賢いな」

「ルナ、かちこい、かちこい」


 自分で自分の頭を撫でている。


「で、その包み何だったの?」




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