第1章 第18話 ただのお休み前のお茶会。

そろそろ陽が傾き始めた頃、アーネスト冒険団御一行様は、〈アーマンジャック(仮)の館〉に帰って来た。


さすがにオヤジを連れて帰る事は出来ないので、途中で別れるのだが、当然の如く、

オヤジは駄々をこねた。あの巨体で。


何とか説得して、お土産を持って会いに行くからと、また軽はずみな約束をして別れたが、その際、オヤジが大きな口を開けてアーネストに迫って来た。


すわ食われる!かと思いきやベロンとひと舐め。味見だろうか?

オヤジはなんか驚いたような顔になって、またひと舐め。


ティラノサウルスの驚いた顔と云うのはよく分からないが、今度は酔っぱらったオヤジみたいに、ふらふらと千鳥足の様な歩き方でで戻って行った。あの巨体で。


本来なら気にする所だが、今日はいろいろあり過ぎたので、レオンハルト先生さえ深く考えないで見送った。


帰ったら帰ったで蜂の団体が一緒なので、館の住人は大騒ぎ。

そりゃそうだ。


使用してない倉庫を新しい家に提供したが、女王様は納得いかない様子。


結局、館の屋根裏部屋を提供しました。武器なんかも仕舞っていたので、

結構広い。兵隊蜂は館の警護も請け負う事になった。

因みに、女王様の名前は〈ベス〉ね。


本日は疲れたので解散、明日、臨時で定例会議を開いて、

話の場を設ける事になりました。


休む前に、おばあ様と先生と、いつもの様にお茶にいただく。


エリも疲れている様なので、休むようにと言ったのだが、お茶を入れてくれた。

なんかエリさん、怒ってませんか?


植物に触れようとして飛ばされたこと、ティラノサウルスに食われそうになった事、蜂の巣を踏み抜いて蜂に襲われかけたこと、何故か言葉が通じたことなどを話したが、おばあ様はかなり驚かれたようだ。

そりゃそうだ。驚くおばあ様もレアだな。


レオンハルト先生は探査機魔法が上手くいった事、魔族の恐らく幹部であろう人物にあった事、魔王子がアーネストを気にしてる事等を話した。


魔王子が俺を気にしてる?何故だ?


「……その魔王子は転生者でしょうか……?」

ポツリとアーネストが呟く。


「そうかも知れませんね……。」


「…………。」

「……。」


なんか、今、サラッと重要な情報が無かったか?


「…!せ、せせせ先生!先生は転生者を知ってるんですか!?先生は転生者なんですか!?」

俺は焦って唾を飛ばしながら、お茶をひっくり返す勢いで立ち上がり先生に詰め寄ろうとした。


先生はいつもの様に落ち着いたしぐさで俺を制し、静に言った。


「転生者がどういうものかは知っています。が、私は転生者ではありません。」

俺は次の言葉が出ず、口をパクパクさせてた。


「私もお話に混ぜて頂けるのかしら?」

さすが、おばあ様は聞き逃さない。



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