俺って最強!ここ辺境!?おれ恐れ皆戦々恐々!でも代償知って凶響虚狂!
煙
突然の凶報
「朝日がまぶしい…今日もいい日になるな」
俺は毎日、朝日が昇りだすと目を覚まし、活動を始める。
幼いころから高レベルの水魔法と炎魔法を操り、神童としてもてはやされてきた。
誰もがうらやむ2属性使い、15の時にマルガーリ辺境伯にその才を見込まれ、
今日までエリート街道を突っ走ってきた。
えっ?エリートならなんで辺境にいるって?なんで王都に行かないかって?
ちっ\ちっ/ちっ\
わかってないなー、これだから単属性どもは
辺境伯は他国との緩衝地帯たる力が必要なのだ…
ようは偉いのだ、辺境伯は、そしてそのお偉いさんに見初められたのが俺、
才能にあふれ、仲間に愛され、キャリアも万全たる俺は誰がなんと言おうと最強ってこと。わかるか?
「さてそんな最強の俺は今日もイケメンだな…………ん?」
「なんか、あれ…えっ…は?」
今日も今日とて整った顔でイケメンなのは間違いないが昨日まであったものがごっそりなくなっている。
「うそだろ、そんな…髪がない、俺の立派な赤髪がない」
いや、正確にはあるにはあった。しかしそれはまるで間伐後の森林のようで
生え際が後退し、ところどころ見るに堪えない隙間ができていた。
とりあえず大きい声を出しておこう。何とかなるかもしれない。
「なんで⁉なんでなん⁉なんでなん!!!???はああああああ↑???」
「ん…いや、ここを魔法で浮かせて、ここを隠して…ああでもここ持ってきちゃうと横がやばいか、いったん散らして、んー…」
さすが最強の俺、心の切り替えも超一流だ。
それから小一時間俺は髪の毛と格闘した。
しかしどこをどう動かそうと総頭髪量は一定で保存されるのだ。大して変わりはなかった。
「やばい、やばい、やばい!治らん!?そしてどうする、こっから?」
まるで登校前の思春期の学生のように鏡の前であーでもない、こーでもないと髪の毛をこねくり回していたところ、
部屋の戸が唐突に叩かれた。
「ねえ、いるのフッサへアー?、いるの?いたら返事して!」
「まずい、まずい、まずい、今人に会うのはまずいって!」
「もう?寝てるの?入るわよー」
ガチャ
「よっよう!おはよう!悪いなちょっとシャワー浴びてて聞こえなかったわ」
「あんた…その…頭」
「イメチェン?そんなハットあなた持ってたかしら」
「ああ、じいさんのだ、オールドな雰囲気も俺には似合うだろう?な?」
ハゲを自覚した人間がまずすること、それは
ハゲ隠しだ
帽子を被る、オールバックにしてみる、ウィッグを被る
ハゲというつらい現実に直面した時、人間がいの一番にとる行動は逃避である。
「ふーん、まあいいわ、それより今日は朝から酒場で会議の約束でしょ」
「言い出しっぺのあんたが遅れないでよね」
「あー、わるいわるい」
そうだ、今日はパーティーメンバーと討伐依頼の作戦会議だったんだ。
最悪だ、人との接触は避けられない…
仮病で誤魔化す?いや、俺はそもそも風を引いたことがない、ウソがばれる、無理だ
あー、どうしよう、どうしよう、
ストレスで胸が苦しい、ハゲになったショックで死にそうだ。なんとかしないと
「あんた何ボケっとしてんの?早く行くわよ、みんな待ってるんだから」
あー、もうしょうがない、こうなったら隠し通すしかない。
「ああ、今行くよ」
そう言うと俺は力強く外へのドアを開けた。
普段見慣れた街の景色もなんだか見慣れなく感じた。
帝国領から吹く北風が、ハットの隙間からとび出ている俺の
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