悪魔はかわいいのが良い!

ぶんんn

第1話

「この本にするか」

俺は平日の図書館が好きだ。

この静かな、世間から隔絶されたような

感覚がとても良い。

まあ、他人から見たら、昼間から図書館で

時間を潰すただのニートにしか見えないかもしれない。

だが、私は働いている。

小説家として、本を読むことは立派な勉強だ。

そして今日も本を手に取る。

「ふう、疲れた」

実際は一回ちょっと売れただけで、

金もほとんど無い。

だから、なにか良いアイデアがないか、

図書館の本を全て読み漁っているところだ。

「今日はこの本にするか」

俺は一冊の分厚い伝記らしきものを、

手に取った。


「コーンッ」

俺は教会の鐘の音で目を覚ました。

「ハッ」

しまった。

恐らくこの鐘の音は夜8時の合図。

俺は急いで入り口に向かった。

やっぱりだ。

閉まっている。

つまり俺は夜の図書館で寝ないといけない。

いつもは昼の図書館しか見てこなかったが、

改めて暗い時間に見ると少し不気味だ。

「しまった」

あの伝記を置きっぱなしのことに気付いた。

まあ、いくら暗くても場所ぐらいは、

分かるだろう。


俺はなんとか無事に本を返し、

寝る場所を探すことにした。

もし、司書さんに見つかったりでもしたら

出禁になるかもしれない。

なるべく見つかりにくい所に隠れておこう。

そして、いろいろ探してるうちに

良いところを見つけた。

それは一番奥の禁書スペースだった。

「おやすみなさい」

そうやって俺は眠りについた。


「オヤスミ」


俺は飛び起きた。

なんだ今の声は?


「ココダヨ」


やっぱり聞こえる。

「ガタッ」

一冊の黒い、明らかにやばい本が、

床に叩きつけるように落ちた。

そこで拾わなければよかったのだろう。

だが小説のネタを血眼になって探していた

俺に拾わないという選択肢は無かった。

勢いよくその本を開く。

その瞬間、

まるで悪魔のような幼女が姿を現した。

「ディフェ、参上!」



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