柚希は可愛い
あー、柚希好き。好き好き好き。真っ直ぐな黒い髪も、切れ長の眼も、クールなところも、でもほんとは繊細で傷つきやすいところも大好き。高2で同じクラスになって、一目惚れしてすぐに声かけた。初対面でぐいぐいいった私におどおどしてた。可愛かった。でも柚希、自己肯定感低すぎ。別にそれが悪いこととかは思わないけど、たまに卑屈になるのは許せない。私の柚希を安く売るなんてありえないんだから。当の本人でも。だから私はことあるごとに彼女を褒める。褒めまくる。いつか柚希が自分のことを全部愛せるように。
「柚希、音楽室行こ〜」
柚希の瞳が素早く動いて私を捉える。あー、私が草食動物なら間違いなく捕食されてるなー。逃げる気もないし。
「いいわよ」
すらりと立ち上がる柚希。おわー、絵になる。くーるびゅーてー。
歩きながら横目で彼女を見ると、はちゃめちゃに可愛かったので思わず
「柚希、今日も可愛いねぇ」
と頭をなでなでしてしまう。すっとかわされたけど。
「そんなことないわよ」
あーもーなんでそんなに謙遜するかな。むー。
「柚希は可愛いんだよ」
事実を述べ伝えただけです。なのに柚希は肩を落として「さ、授業に遅れるわよ」と早足になる。もーー。
「可愛いって言ってるのにー」
むくれながら柚希を追い越す。もう、いつになったら自覚してくれるのよ。
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