小松勤皇党顛末記

かわごえともぞう

プロローグ

 幕末、尊王攘夷運動が全国に波及する中、伊予の国、小松藩にも勤皇党が密かに結成された。十代、二十代の若者を中心としたわずか14名の組織で、武士もいれば百姓、漁師、船乗り、町人もいる。小松勤皇党は、尊王倒幕を旗印に活動を始め、同士を脱藩させ長州に送ることを画策する。が、脱藩決行の当日、生野いくのの変に敗れた七卿の一人、沢宣嘉さわのぶよし一行が小松まで逃れてくる。

 幕府の追捕から沢をかくまい、長州へ落ち延びさせることが小松勤皇党の目下の目的となる。勤皇党の一員、最年少十四歳の女性党員タイは、沢卿の手となり耳となって暗躍する。タイは、漁師の娘で魚売りを生業なりわいとしている。家老の嫡男で勤皇党同士の喜多川鉄太郎きたがわてつたろうと恋仲であったが、身分の違いからうことはできなかった。

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