第4話 二つの未解決問題


「高校生のハートフルアルゴリズム」第4話: 「二つの未解決問題」


春の日差しが教室を照らす中、川田光司と春野莉緒はひとつの数学の問題に向かい合っていた。二つの頭と二つのハートが一つの問題を解くために協力している。しかし、それは彼ら自身の心情にも比喩されていた。


「この問題、あと一歩で解けそうなんだけど…」光司が言い終わると、莉緒はペンを止め、光司の方を見る。


「私もそう思う。でも、その一歩がなかなか…」莉緒の言葉に、光司はゆっくりと頷く。


「そうだよね。でも、絶対に解ける。だって、僕たちは一緒にいるから。」光司の言葉に、莉緒は少し驚くが、それでも微笑む。


「そうね。私たちなら、絶対に解けるはずよ。」


数学の問題だけでなく、彼らの間にはもう一つの未解決の問題が存在していた。それは、お互いへの感情だ。友情を超えた何かが芽生え始めていたが、それをどう表現すべきか、まだ答えを見つけられていない。


放課後、光司と莉緒は図書館で一緒に時間を過ごすことが日常となっていた。しかし、この日は何かが違った。二人の間の空気が微妙に変わっていた。


「春野さん、最近、ちょっと変な気がして。」光司が言葉を紡ぎ出す。


「何が、光司?」莉緒が尋ねる。


「うーん、それは…」光司は言葉を探す。しかし、その感情をうまく言葉にできない。


「それは、数学の問題みたいなものだよ。解けそうで解けない、それが何なのかわからない。でも、それがあるからこそ、楽しい。それが僕と春野さんの関係なんだと思う。」


莉緒は驚きつつも、光司の言葉に心を揺さぶられる。それは彼女自身の感じているものと酷似していた。


「私も同じよ。何かが解けそうで解けない、それが何なのかわからない。でも、それがあるからこそ、楽しい。それが私と光司の関係なんだと思う。」



「僕たちは今、二つの未解決問題を抱えている。一つは数学の問題、もう一つは僕たちの関係。どちらも解けそうで解けない。でも、それが僕たちの物語を面白くする。だから、これからも一緒に問題解決を楽しみたい。」

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