第4話
異世界に聖女として呼ばれた私は今、何故かこの世界で言う魔法学校なる場所に通うことになっていた。
で、私を召喚したのは魔法学校の生徒会会長で、この国の王太子なのだとか。
そして物凄く、物凄くありがちなことに、私はその王太子の婚約者である令嬢から分かりやすくて分かり難い嫌がらせというやつを受けている。
いやね、私はこの世界の人間ではないので、お茶会に呼ばれなくても痛くもかゆくもないって言いますか……ドレスも買えませんの?とか馬鹿にされた所で、私は勇者としてこの世界に来たわけで、動きにくいドレスは買ってもらったとしても着ませんし……陰口なんか囁かれ変な噂を立てられたとしても、特にダメージはないし……。
一応傷付いてるよーってフリはした方が良いのだろうか?
でも、それをやり過ぎると王太子が過剰反応して婚約者の令嬢に冷たく当たるから嫌なんだよね。
婚約者が急に現れた聖女連れてキラッキラした笑顔を振りまいてちゃー心中穏やかでいられない気持ちは物凄く分かるつもりだし!
そんなことより、早く敵をブッ飛ばしてこの世界を攻略したいんだけど……王太子いわく、不吉なことが起こる前触れがあるらしくて、近日中に魔女ってのが復活するらしいんだけど、それがいつになるのか詳しい日時は不明とのこと。
魔女が封印されている場所が何処にあるのか分かっているなら、別に学校に通わなくても、封印されてる魔女の前に座り込んで出て来るのを待てばいいと思う。
それなのに見目麗しい青年から、眩しいほどの笑みを向けられ「危ないからー」とか、花ですら恥じらうっていうの?なんかそんな感じの超絶イケメンから「僕が守るからー」とか言われて今に至る。
とにかく凄いのよ、この世界の住人は!
みんな美人なの!
イケメンとかそんなポップな感じじゃなくて、ドッシリとズッシリと麗しい美人!
もうね、私の顔面なんかのっぺらぼう?って位には薄いからね……。
だけど悪いことばかりでもなくて、魔法の才能はないと思っていた私が魔法学校に通って魔法の原理を学ぶことで、弱くはあるけど手から火が出るようになった。
先生が言うには剣に魔力を流すことで魔法剣ってのになるらしくて、それがかなり強いらしい。ただ、剣に流すだけの質の良い魔力は、今の私には到底無理なんだけどさ……せいぜい蝋燭に火がともせるレベルだから、サーっと風が吹くだけで消えてしまう儚さ加減。
この世界を攻略して、次の世界でも魔法学校みたいなものがあったらそこでも魔法について勉強してみようかな?色んな世界の色んな魔法の原理ってのを身につければ、何かとんでもなく強くなれるような気がしなくもない。
もしかしたら黒田君を召喚できたりしちゃったりなんかしちゃうかもしれないかも?
転生、させられてなきゃ良いんだけど……。
「……ハァ……」
できるだけ考えないように淡々と日々を過ごしていたんだけど、異世界に来てからの方が平和で、色々考える時間が増えてしまったから、どうしたって考えてしまう。
「どうしたんだい?」
不意にまぶしい物体が目に入って来た。
この眩しい青年は王太子の友人かなにかで、いつも一緒にいる青年だから、将来は多分側近とか?騎士とか?なんかそんなのになりそうな感じの人物なんだけど、それはそれはもうキリッとしてて、王太子の優し気な雰囲気とはまた別タイプのキラキラっぷり。
これ、なんて表現したら良いんだろう……イケメンの凄いバージョンだからハイイケメンとか?オーバーイケメン?限界突破イケメン……アドバンスイケメン?イケメンってのがよくないのかも?美男子?美丈夫?
まぁ、なんだって良いわ。
「なんでもないですよー」
要約すれば、イケメンを前にイケメンって表現で良いのかどうかを考えていただけなんだから、本当に何でもないんだけど、何をどう解釈したのか、この世界のイケメン達は私を聖女として持ち上げ過ぎている節があって、その反面王太子の婚約者を悪く言い過ぎる。
あれだ、悪役令嬢みたいな。
差し詰め私はヒロインポジション?
うはぁ!冗談はおやめになってくださいまし!
さっさと魔女を倒して、クリアタイムを美樹に確認したいんだから!
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