虹色のオーケストラ

主道 学

第1話  それは始まりでも終わりでも

 ぼくはふらりとよった。

 前から入院中の姉に頼まれていた白いアザレアを花屋で探すことにしたんだ。

 

 花屋のドアを開けると途端に恋をしてしまった。


 何もかも突然だった。

 なぜだろう?

 恋がいきなりぼくの胸に飛び込んできたみたいだ。


「いらっしゃいませー。何のお花をお探しですか? うちには綺麗に育ったお花がたくさんありますよ。どれもいつもとは言えませんけど、お花たちは機嫌がいい時ばかりなんです。ほら、このお花なんてどうでしょう。とても今日は機嫌がいいみたいですよ」


 少女は芝居がかった物言いが終わると、クスリと笑った。

 ぼくもつられて笑っていた。

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