第11話
牢獄&講義帰りの次の日。
ベッドで横たわったまま眠りについていた僕。
「おはようございます、お兄様」
そんな僕は優しく体を揺すり、耳元で囁いてくるアスカの声で目をさます。
「……んっ、おはよう。アスカ」
寝ぼけまなこを擦りながらゆっくりと体を起こす僕はあまり働かない頭の状態のまま、アスカへと声をかける。
「おはようございます、お帰りなさいませ」
「うん、ただいま。ごめんね。心配かけて……」
「……今回ばかりは、本当に心配しました」
僕の言葉に対して、アスカがぽつりと呟く。
その声は実に真へと迫っていた。
「ははは、ごめんね。流石に僕も初めての投獄で結構焦ったよ」
アスカの言葉に対して軽快に言葉を返す僕。
「ほんと、ごめんなさいね」
「……ッ!?」
そんな僕へと今度はアスカではなくミリア様が声をかけてくる。
「学園の為、国の為、一生懸命戦ってくれたあなたに投獄という最悪の状態をプレゼントしてしまったわ。本当にごめんなさい」
「いえいえ、ミリア様が謝ることではありません!」
寝ぼけたせいか。
声をかけられるまでミリア様のことに気づいていなかった僕は慌てながらミリア様へと視線を向けてそう告げる。
ミリア様までいるなんて……ん。いや、違う。この場にはミリア様だけでなくカミア様やサレリア様まで勢ぞろいしていた。
「いや、今回の一件は謝るべき一件よ」
「いえいえ、大丈夫ですから。そして、改めてサレリア様。アスカを預かっていただき、ありがとうございました」
僕はミリア様の言葉を適当に濁しながら視線をサレリア様の方へと向けて口を開く。
「良いのよ。これくらい。いつでも頼って頂戴。私もロマルスには助けられているからね」
「うむ。別に我だっていつでも派手に頼ってくれて構わぬからな?全力で力を貸すぞ!ロマルスの為であれば何をしてやっても良い!」
「ありがとうございます。今回のようの件がもしあった際。その時は頼らせてください」
僕は二人の言葉に対してお礼の言葉を告げ、深々と頭を下げる。
「そうよ。今回のような件が『もしも』あったときのためよ」
そんな僕の言葉に食いついてきたのはミリア様だ。
「何かが起きたときの保険は当然として。それでも、まずは起きないようにする工夫が欲しい」
「まぁ、そうですね」
僕は身を乗り出しながら話すミリア様の言葉に何か嫌な予感を感じながらも頷く。
「そこで私から一つ、提案があるのよ。こんなこともう起きないようにするための提案が」
ミリア様は一度、言葉を切った後。
再び口を開く。
「私と、婚約しないかしら?」
「……は?」
寝起き一発。
あまり頭も働かない状態で告げられたミリア様の衝撃発言に僕は固まる。
もはや眠気など、一瞬で吹き飛んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます