第9話
僕が何を選び、どう動くべきか。
そんなことを考えている間に状況は刻一刻と変わっていっていた。
まず、騎士の手によってあえなく捕まっていた僕は国王陛下の取り計らないのおかげでなんとか無事に解放された。
しっかりと僕が無実であるということを証明してくれたんだそうだ。
そして、そんな僕は今。
「まず、僕らダンピールを殺すことは諦めてください。無理です」
国王陛下並びに侯爵家や辺境伯の当主、軍の有力者たちを前にしてダンピールとの戦い方を講義していた。
ヴァンピール並びにダンピールはこの世界に存在するありとあらゆる存在とはかけ離れた戦い方で圧倒的な強さを持って戦う。
種族としてのの性質を知らぬままに戦うなどただの自殺行為である。
たとえれっきとした理由があろうとも先ほどまで拘留されていた僕が天上人であられる方々の前でこんな抗議しているのだろうか。
何か釈然としないものを抱きつつも僕はしっかりと自分の役目は果たすべく口を開く。
「そもそもヴァンパイアとは復讐の権化なのです。僕らのご先祖様は今はもう亡き禁術でもって復活した強い憎悪を持った状態で復活した死者、亡霊たちなのです。死者であるからこその不死性であり、再生力。ヴァンパイアとはそのうちにある復讐を果たす限り死ぬことはございません……別にもう恨んでいなくとも、です」
例外として。
ヴァンパイアはヴァンパイアを殺すことが出来るのだが……これは言わなくていいだろう。
「ラミィの復讐心がどこに向いているのかはわかりませんが……最悪の場合、人類そのものに向いている可能性もあります。そうなればもはやラミィの殺傷は不可能です。流石に全身を吹き飛ばされればヴァンパイアとは違い、不完全な存在である僕たちダンピールは再生に戸惑い、消し飛んでいる最中は戦えぬでしょうが……所詮、それだけです」
「ふぅむ……厄介な性質であるな。ところで君の復讐心は何処に向いているのかね?」
ダンピールの厄介な性質に眉を顰める国王陛下は僕の復讐心について探りを入れてくる。
「……自分の動きなど既に掴んでおいででしょう?」
そんな国王陛下の言葉に対して僕は軽い言葉で返し、説明を続ける……既に己が復讐を達成しようとし、それを実に下らぬ理由で失敗したことを国王陛下は知っているはずだ。
そんな人に僕の中にあった復讐心を語る必要はないだろう。
「ゆえに、ラミィと戦闘する際は封印術など用いることをお勧めいたします。ただ、封印する際にも細心の注意をお払いください。自分たちを無力化する封印に対する対策は我々としても入念にしておりますので。おそらくラミィも僕でさえ知らぬ対策を持っているでしょう」
ラミィとの戦闘法。
それを僕は丁寧にわかりやすく説明していくのだった。
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