第30話

 日に日に元気になっていくアスカ。


「ふっはっはっは!良いぞッ!実に良いよ!その光、力……実に目立つッ!」


「ありがとうございます!」

 

 今ではカミア様と元気に模擬戦を出来るまでになっていた。

 なんかちょっと元気になりすぎている気がするよ?まぁ、喜ばしいことではあるけどね。


「……ちょっと元気になりすぎ、というか強くね?」

 

 貴族の子供の中でも上澄みも上澄み。

 トップクラスであるカミア様を相手に互角に渡り合っているアスカ……ちなみに彼女が剣を持ったのは一週間前である。

 一週間で剣をマスターし、数多の光魔法を使いこなし、驚異的な強さをアスカは誇っていた。


「……」

 

 なんかアスカの力、若干ゲームの主人公っぽいような……?

 気のせい……そういえば今まで一度もゲームの主人公を見ていないような気が。


「だがしかし、より目立つのはこの我だ。輝かんばかりのお前を押しつぶし、我が頂点に立とう……『雷帝』」

 

 激しく模擬戦を繰り広げるアスカとカミア様。

 その戦いはますます激しくなっていき、その規模もどんどん大きくなっていく。


「……お願い、聖剣」 

 

 そして、とうとうアスカは神話上に語られる武具である聖剣へと祈りを捧げ、自分の手にある聖剣から力を引き出す。

 ちなみに聖剣はなんかいつの間にかアスカが召喚出来るようになっていた。


「そろそろいい加減止めなきゃ不味いかな?」


 雷を纏い、支配するカミア様に聖剣の圧倒的な力を振るうアスカ。

 その二人の戦いはもはや模擬戦などと言う次元に収まっていない……これ以上ドンパチ激しくやられると国王陛下からせっかく頂いた修練場が壊れる。

 一応ここってば屋外じゃなくて室内の体育館のような場所なんやで?


「私が止めるからロマルスは戦う必要ないよ」


「あっ、そう?」


 二人の間に割って入ろうとした僕をミリア様は手で制し、彼女が前へと出る。


「凍りなさい」

 

 そして、ミリア様は腕の一振りで魔法を発動。

 何もかもを凍り付かす地獄の冷気が吹き荒れ、アスカとカミア様の行動を強引に止める。


「やりすぎよ」

 

 そんなミリア様の頭へと手刀を落とすのはサレリア様。


「いたっ」

 

「力の調整ミスは美しくないわ。貴方がここを壊す勢いで魔法ぶっ放してどうするの?私とロマルスが反射的に結界を貼ったから良いものを……ミリアがここをぶち壊してどうするの?」


「あっ……」

 

 アスカが元気になり、修練場をよく使うようになってから一週間。

 ごく当たり前のように訪れるようになったミリア様たち三人のおかげで修練場は常に賑わっていた。

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