第12話 日曜日

日曜日の朝、霞む目を無理やり開けると

代わり映えしない古ぼけた天井が目にはいってきた

いつもなら、また今日が始まってしまうのかと嘆き悲しみ

なかなか布団から起き上がれないところだが


今日は違った

目的があるからだ


僕は自分の悲劇で終わりそうな人生を変えるべく

書店に行くという第一歩を踏まなければなれない


休日に出かけるなど、何年ぶりだろう

友達もいなければ、行動的でもない

たまにレオが遊びに誘うため玄関までは来ていたが

誘いに応じたことはないし

あの一件以来、レオは僕の事を明らかに避けていた

ついに僕は一人ぼっちになった


ユリコだってまだ手に入ったわけではない

これからが本番だ


間違った方法をとって、ユリコが離れていくようなことがあってはいけない

間違わないためにもここは知恵をつけるに限る

僕は身支度を整えるべく、一階の洗面所に向かう


古くなった階段が僕の体重に合わせて、ミシミシと大きな音を立てると共に

さっきまでしていた、まな板を叩く包丁の音が急にしなくなった

母が慌てた様子で、階段を降りきった僕に駆け寄る


「あんた今日は学校休みよ?こんなに早く起きるなんて……どうかしちゃった?」

「別にいいでしょ?出かけるんだから」

僕の"出かける"という言葉に、母は嬉しい用な不思議な用ななんとも言えぬ顔をした

「どいてくれる?通れないから」

僕がそう言うと、母はそのなんとも言えぬ表情のまま僕に道を譲った

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