第8話 策

ユリコはその後も数日間学校を休んでいた

羽山の話では体調が治らないらしいが、それはただの口実かもしれない

僕はユリコに対する申し訳なさと心配に加えて

他にも不安材料があった

ユリコが僕の"秘密"を誰かにバラさないか


僕の生まれつき持った性質は家族と担任の羽山以外は誰も知らない

僕が白黒の世界を生きているなんて周りに知られれば

椎名と財前はもちろん

クラス中、いや学年中の人間がバカにしてくるに決まっている

今だって性格が暗いのを理由にクラスで浮いた存在なのに

これ以上悪目立ちしたくなどない

今までにも何度もバレそうになったが

その度に上手く切り抜けてきた

ユリコに知られてしまった以上

今回もまた対策を考えなければならない


お見舞いを兼ねて口止めしに行きたいところだが

あいにく、家に行くほどの仲にはなっていないし

どこに住んでいるかさえもわからない


しかし、僕のクズぶりときたら

ユリコを心配しているようで、自分の心配ばかりしている

僕は自分自身に心底落胆しながらも、頭の中では策を講じていた

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