僕の一番美しくて一番残酷な愛
彩場リョウタ
第1話 今日も昨日も
人はいくらでも残酷になれる、人の欲望とは果てしないもので
ひとつ叶えばまた欲しくなるもの
だが僕の欲望はただひとつ
それは"愛する人の血"を見ること
その為なら、誰が傷つこうと関係ない
ほら、今まさに僕は残酷な人間になろうとしている
☆
目覚ましのけたたましい音は
退屈な1日の始まり、今日もまた同じ1日が始まる合図だ
まるで何かの罰のように
僕の世界に彩りなどない
僕は生まれつき白と黒しか認識できない
全てが白と黒だけで織り成されている退屈な世界
そんな悲しい行き場のない感情に浸っているうちに
声が聞こえてきた
「トオル!起きてるの?学校遅れるわよ」
ドアを隔てた向こう側に立つ母の声だ
僕はなにも言わず固いベッドから身を起こし支度を始めた
その間も母の僕を起こす声は絶え間なく続いた
部屋を出ると突然出てきた僕に母は一瞬驚いた表情をしたが
「起きてるなら返事くらいしなさい!朝ごはんは?」という問いかけに
僕が「いらない」というと
母はすぐに表情を変えしかめっ面でこういう
「朝ごはん抜いちゃ力がでないわよ!」
何故毎朝この不毛な押し問答をしなければならないのか
僕は生産性のない会話から逃れるように
母を無視し、階段を下り1階の洗面所に向かった
バサバサの歯ブラシに力を込めひとしきり洗った後
顔を洗いながらまるでループしているかのような毎日にため息をついた
涙が出そうだったが、そこまで感情的には基本ならない
なぜなら泣いたってこの世界は変わらないから
僕は顔の水滴を一滴残らず拭き取り
着ていた制服と短い髪を整え鞄を手に玄関に向かう
母が玄関で待ち構えていたが
僕はなにも言わず
いってらっしゃいと言う母の声を後に家を出た
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