「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年 アメリカ、イギリス)

 2023年の春アニメ【〇しの子】※(原作は現在連載中のコミックス)が話題になっていますね。※諸事情によりタイトルは伏せさせていただきます。

 私も毎週楽しみに観ていますが、たぶん、視聴者の多くがアニメ第1話のクライマックスに衝撃を受けたかと。


 自分が応援している推しの芸能人がああいうことになってしまったらショックでどうなってしまうのか……自分ですら想像できません。


 たぶん、この映画を撮ったクエンティン・タランティーノもそういう無念さをこの映画にぶつけたのではないのかなぁと。



「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年 アメリカ、イギリス)161分

監督、脚本 クエンティン・タランティーノ

出演 レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノ



【あらすじ】


 1969年のハリウッドが舞台。

 落ち目の俳優・リックと、彼の相棒で廃業中のスタントマン・クリフ。

 この2人を中心に、60年代後半のハリウッドを描いた作品。



【レビュー】


 この映画は、フィクションである。

 だが、1969年に起きた映画監督ロマン・ポランスキーの妻であり、女優のシャロン・テートがカルト的なヒッピー集団に惨殺された事件を基に作られており、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットが演じる主人公2人は架空の存在だが、登場人物の一部は実在した人物という映画になっている。


 何故こんな形になっているのか?

 その答えが、ラスト30分に描かれている。

 タランティーノは殺害されたシャロン・テートの大ファンだったらしく、あの事件に対しての強烈なアンサーを叩きつけた。


 この映画は、あの時のハリウッドのもしも……を描いたのだ。



 映画の途中まではタランティーノ監督作品にしては比較的穏やかだったのに、クライマックスでは用意していたダイナマイトを次々と点火させたように大爆発が起きる。

 もしかしたら、タランティーノはこのクライマックスをやりたかったが故に、この映画を製作したのかもしれない。

 あくまで私の推測だが、もしそうなら、あのクライマックスはタランティーノの尋常ではない怒りが描かれていたのかもしれない。



 映像としては60年代後半の古き良きアメリカを再現しており、当時の映画やTV番組を再現。

 また一部映像を合成させたりと、タランティーノらしいマニアックで遊び心のある映像作りになっている。

 あと、明らかに『あの人』だと思わせる人物を登場させて、おちょくるシーンがあり、タランティーノは『あの人』が嫌いだったのか……と思わせるシーンも。



 ラストのもしかしたら、あり得たかもしれないifが妙な切なさを感じさせる。



 クエンティン・タランティーノという映画監督……または映画ファンが生きた60年代ハリウッドへの想いと、あの時の無念さと悔しさが描かれている映画だった。

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激やせ!映画塾!!~私はこの映画を観て痩せました~ 団子おもち @yaitaomodhi78

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