のってるかい

勝利だギューちゃん

第1話

「のってるかい?」


今、ステージでひとりのアイドルが、客席に声を贈っている。

客席も、それに応えている。


若い女の子のアイドル。

最近は、アイドルの高齢化が進み、40歳でもアイドルを名乗っている。

(ていったら、敵をつくるか・・・)


だが、今壇上にいるアイドルは、20代前後。

正確な年齢は非公表。

まだ、隠す歳でもないと思うが・・・


ミニスカートで元気に歌い踊っている。

スカートの中は、見せパンか・・・

だろうな


僕は本来は、アイドルには興味がない。

ていうか、誰が誰だか、わからない。

同じに見える。


まるで、どこかの漫画のキャラクターみたいだ。

でも、興味のあるファンには、区別がつくんだろうな。


「なあ、一緒に行ってくれ」

「断る。興味がない」

「ひとりで行くの、抵抗があるんだよ」

「他を当たれ」

「他の連中は、浮気をしたくないというんだ」

「気にするなよ」

「お前はアイドルに興味がないだろう」


その悪友は、となりで騒いでいる。

こいつらは、アイドルを見に来ているのか?

曲を聴きに来ているのか?


休憩時間に入る。


「悪い。俺、帰るわ」

「合わなかったか?」

「ああ。頭痛い」


僕には性に合わないようだ。


ロビーに出る。


「帰っちゃうんだ」

声をかけられる。


「あれ?君は・・・」

「ステージから見てたけど、君はのってなかったね」

「よく、わかるね」

「逆にわかるよ。目立つもん」


あっ、そう・・・


「君はアイドルには興味がないみたいだね」

「ああ。全く・・・。って、ステージと違うね」

「こっちが素よ」

「そう・・・」


チケットを渡される。


「これは?」

「今度のコンサートのチケット」

「なぜ、僕に・・・」

「君みたいな子は逆に燃える」


燃えるって・・・


「必ず、私に注目させる」


そう言うと、去って行った。


チケットの日付は・・・

えっ?

今夜の22時?


まじですか?


「来てくれたね」

「暇だだしね。それに気になる」

「何を?」

「いろいろと」


客席は他にいない。


「では、本堂啓介くん」

あれ?

僕名乗ったか?


「この曲は、君のために歌います」

息を飲む。


曲名は・・・


「のってるかい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

のってるかい 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る