電子ラノベ市場の推計について

 実は公的団体やリサーチ企業は「電子書籍」のみのラノベ市場金額を発表していない。そこで筆者は推計額を出した。

 2022年の紙媒体すべての出版市場額は1兆1292億円である。このうちの約1.8%(211億円)が紙媒体ラノベ市場である。ということは電子書籍もこれに準じるであろうと推測する。

 2022年の電子書籍市場規模のうち、漫画・コミックス市場シェア89.3%、雑誌を除く文字データシェア8.9%、雑誌シェア1.7%となっている。電子書籍の文字データ市場額はたったの597億円(8.9%)しかない。筆者はこの597億円の約1.8%分が電子ラノベ市場であろうと推測する。なお「ラノベ無料読書サービス」はもちろん市場額に含むことは出来ない。無料だからである。したがって電子ラノベ市場は推定5~12億円市場程度に過ぎずそれはもう無視してよい誤差の範囲にすぎないと筆者は判断した。

 しかもラノベの場合はわざわざ電子データを購入しなくとも「なろう」やここ「カクヨム」で無料版が見れるので電子ラノベ市場額はもっと小さいのかもしれない。電子ラノベ購入サイトのアクセス数が大きく見えるのも単に「0円」ラノベを読みたいからにすぎず有料版を買って読む人はまれと推測するがそれは筆者の独断にすぎないので今のところは電子ラノベ市場額は紙ラノベ市場額と同等のシェア率で推計市場額を出さざるを得ない。

 また本論にも書いたが「電子書籍市場のうち文字データ市場は有料版法律データベースなどが大きく入っているため電子ラノベ市場は事実上推計1%程度か下手すると1%にすらも満たないと思われる」という答えの通りで法律事務所等で使う電子六法全書や設計事務所で使う電子建築六法などの法律データベースは法律という特性上毎年法改正がされるので購買しなければならない。

 よって電子ラノベ市場は法律データベースなどの単価を考えると微々たるものだと言わざるを得ない。


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※注1:仮に2024年以降に「電子ラノベ市場」額が出た場合は電子:紙媒体比率が出せる上に電子シフトが起こっているのかいないのかが分かる。もし電子ラノベ市場額が算出された場合は全面改稿になることをご容赦いただきたい。


※注2:広告市場込みでの電子ラノベ市場額を出すのは水増し行為でありそれを言うのなら紙媒体の広告市場額も出さないとフェアではない。無料サービスは所詮無料でしかない。金額としての価値は無い。


※注3:常識的に考えて無料でなろうやカクヨムで読める作品をわざわざ電子書籍で買うとは筆者はとても思えない


※注4:筆者は「今ならコミカライズ版を買うとポイント還元実質無料電子ラノベ作品提供中!」のような作品も無料(市場額に入れてはいけない)ものと考える。それは「無料おまけ品」です。なお紙媒体の本は再販制度によりそういう事が出来ません。だから電子書籍のみのラノベ市場が算出できないのだと思います。


※注5:インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2023』の利用率調査で、マンガを除くと1位はライトノベルだという。ライトノベルのほかには趣味・実用・ガイド、文芸小説、ビジネス、パソコン・IT、ノンフィクションとしている。おかしいことに読者は気が付いただろうか。そう、新聞の電子版が市場額に算入されていないのである。紙の新聞と違い電子新聞版は数年前の記事も読めるのでこれは事実上の「新聞縮小版の電子版」であり新聞縮小版ということは「逐次刊行物」ではなく「本」つまり電子書籍文字データである。筆者は「電子新聞」を電子書籍文字データに入れるべきとここで主張したい。


【参考文献】


飯田 一史「『小説はつまらなくて、マンガはおもしろい』から売れないのか…文芸市場が抱える課題」 現代ビジネス電子版 2023年 12月30日


飯田氏も同様に電子ラノベ市場額は20億円程度であると推測している。しかも単行本ラノベ市場103億円というのは刷数で返本率を考えたら真の紙媒体単行本ラノベの売上は約70億円にすぎず、電子ラノベ単行本の売上を入れてそれでラノベ単行本市場は約100億円であろうとコラムにて執筆している。ただし飯田氏は拙著の5~12億よりも電子市場額をやや高めの額で推計を出している。

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