書庫の管理人〜俺は賢者じゃない〜

あに

異世界の地

第1話 異世界


 ここは何処さ?

 真っ暗で何も見えない。

 あっ、光が飛んでる?

 消えるな!

 俺のところに真っ直ぐに来て中に消えていった。


 また真っ暗闇の中俺は歩く。

 いや、歩いてるのか?

 感覚はあるが地面を歩いているのかどうか怪しいな。

 

「んー。ん?」

 気づけば森の中、パンツ一丁で何してんだ俺?

 てかどこよここ?

 そもそも何故パンツ一丁なんだよ。

「俺は真っ暗の中を進んできただけなんだが」

 しょうがないから歩いていると川が見えた。

「おっ!川だ!水だ!」

 走っていくと先人がいた。

「おっとすいません」

「ガウアウア」

「言葉が通じない?異世界か?」

「ガウ」

「痛て!」

 持っている棍棒で叩かれる。裸に棍棒はキツい!

「この!貸せ!痛いだろ!ほら!」

「ガッ!ガッウッ!」

 俺は棍棒を奪い取ると叩いてわからせる。

「な!裸に棍棒は痛い!わかったか!」

「ガウがウガァアァ」

「ちょっ!本気になるなって!ってか人間じゃない?」

「ガウ!」

 当たり前の様に噛み付いてくるのを棍棒でいなして、棍棒を振り回す!

「お前がその気ならやったるぞ!とりゃ!」

「ガウッ!」

 いいところに当たったみたいで倒れた人をよく見るとファンタジーでよくみる緑色のゴブリンだった。

「あっぶねぇ!食われるとこだぜ!このやろ!」

 最後に一発脳天に棍棒を喰らわせると、自分に何かが入ってくる気がした。

「これが経験値だとしたらステータス」

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 近藤 春こんどう はる21歳

 レベル1

 力 F

 体 E

 速 E

 知 F

 魔 E


 スキル

 ユニーク 書庫の管理人

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おぉ!出たじゃないか?!」

 にしても酷いステータスだな。パンツしか装備してないし、あ、棍棒もあった。


「あー、なぜに俺はこの世界にきてるんだ?って考える暇もないのか!」

 ゴブリンが三匹こちらに来ている。

 茂みに隠れて、

「いらっしゃーい!」

「ギャッ!」

 剣持ちを倒して剣を拾う。

 もう一匹に剣で斬りつけ倒すと、

“ボウッ”と炎の玉が脇を掠める。

「あぢっ!って卑怯だろ!魔法なんて!」

 本を持ってるゴブリンと棍棒でぶん殴ったゴブリンが起きあがろうとしていた。

「こっちからだ」

 本を持ってるゴブリンに斬りかかり本をゲットする。

 そして二体を斬り倒す。

「はぁ、はぁ、疲れたぁ」

 その場でペタリと尻をつく。


 川沿いはモンスターが出てくることを知って、少し離れると本を読む。何語か分からんけど頭に入ってくるのでパラパラと読み終わる。そして本が俺の中に入ってきた。

「おわっ!」

 な、なんなんだよ。

「ステータス」


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 近藤 春こんどう はる21歳

 レベル3

 力 F

 体 E

 速 E

 知 F

 魔 E


 スキル 火魔法

 ユニーク 書庫の管理人

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「おお!火魔法を覚えたぞ!本のおかげか?」

 枯れ木を探していたらツノの生えたウサギを見つけ剣で斬り倒す。

「食料もゲットして、あとは水が飲めるかだな」

 火魔法で枯れ木に火をつけてウサギを皮と内臓を取って焼く。塩か醤油が欲しいが美味そうな匂いに我慢出来ずに齧り付く。

「うまっ!あちぃけど美味い!」

 思ったより鶏肉に近くて美味いのですぐに完食してしまった。


 こうなると水だな、喉がカラカラなんだよ。

「南無三、ゴクゴクッ!うめぇ!」

 まだ腹は壊したくないが我慢できなかった。

 夜まではまだ早いので寝床を探して川下へ降りていく。裸足なので石が痛いし、剣が重いし。

「あっ!森抜けた!」

 森を抜けると橋があり、人がいることがわかる。

 河原で足裏が痛いが走っていく。

「やった!道だぜ!」


「キャァァァァ」

「おっ!テンプレか?」

 女の声はこっちに来ている。

 剣を構えてまっていると、

「ば、馬車!!」

 轢かれると思い咄嗟に避ける。

「な、なんだ?ゴブリン?」

 馬車を追っかけてゴブリンが走っているが息も絶え絶えで走るのをやめた。

「ガウァウァ、ウァ」

「成敗!」

 四匹のゴブリンを倒した。戦利品に剣を三つと本を拾う。

「っと、馬車は遠くに行ってしまったか」

 遠くに城壁が見えるのでそこまで歩いていくことにした。


「クソ重い」

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