母さんと逃亡

乙姫セリカに監禁されていた僕は、いつの間にか、ボディーガードの玉石さんに救出されていたんだ~!


「・・・安心する・・・今は逃げて・・・。学校はうまくやるから・・・とにかく・・・30億の借金を・・・逃げて・・・手に入れる手を・・・考える・・・」


玉石さんはそう言って、僕を抱きしめてくれた。


ふにゃり


玉石さんの小さいおっぱいの感触が僕の胸に伝わる・・・。


「・・・」


「・・・ん? ・・・どうした?・・・」


「なんでもないです・・・」


玉石さんは隠れ家を用意してくれて、なんとそこには母さんもいたんだ。


「隆起・・・」


母さんは僕を抱きしめてくれた。




母さんは言った。


「・・・私も働き続けようと思ったけど、30億の借金じゃどうしようもないから。玉石さんとお願いして、隆起と一緒に逃げることにしたの」


「母さん・・・」


「今は大変だけど・・・逃げて、逃げて、二人だけの居場所を作りましょう。隆起」


「ッ・・・。母さん。僕、母さんのためにどこまでも頑張るよ。いつか、母さんだけを幸せにするから」


「・・・隆起」


母さんは僕をまた抱きしめてくれた。



母さんの感触はどこまでもやわらかくて、僕は、とても母さんが愛おしくなった。


「母さん・・・愛してる・・・二人で逃げよう・・・」


「私も愛してるわ。隆起。この世界で私とあなただけ・・・」


「母さん。母さん。愛おしさが止めらない・・・」


「・・・隆起・・・。愛してるわ」


僕は母さんと寝て、母さんを抱きしめながら、その温かいぬくもりに包まれた。




それから、翌日、僕と母さんは玉石さんの用意してくれた静岡の山荘で目覚めた。


小山に囲まれた小さな伊豆地方の別荘。


そこで、母さんが料理をしてくれて、僕たちは二人で料理を食べた。


「・・・あっ。美味しい・・・」


「夏野菜を使った冷製スープなの。静岡は新鮮な野菜と水が美味しくのよ」


僕はうれしくて本が出た。


ポン


https://kakuyomu.jp/works/16817330657217443806


僕は本をポケットに隠した。



「・・・いつまで逃げられるのかしら。私たち」


「世間の目は厳しいよね。ただ、僕は母さんを愛してるから」


「私もよ。あなただけ・・・あなただけなの」


「・・・うれしいよ。母さん」


30代の母さんの少し大人な笑顔が僕は好きだ。母さんは少し悲しそうな表情で。


それがどこまでも、僕にはきれいに見えた。


玉石さんからの伝言が残ってた。


「・・・山荘は仮に抑えただけ・・・。2,3日したら電車で逃げて・・・。・・・そうじゃないと・・・痕跡を辿って・・・追手がやってくる・・・世間を味方につけた・・・乙姫セリカが・・・あなたを追ってる・・・」


テレビをつけると、乙姫セリカが泣きながら訴えていた。


「裏切られましたっ! 裏切られましたっ! 私、伊藤隆起くんに裏切られたんです! 30億も借金を肩代わりさせられて・・・私っ、私っ、・・・今、死ぬほど悲しいんです・・・お金じゃなく・・・ただ、心が痛いっ・・・」


「・・・なんだよっ。これっ」


乙姫セリカはなお、僕に対してテレビで攻撃を仕掛けている。


「追ってくださいッ。勇者の癖に、その義務を果たさず、私に借金を押し付けた伊藤隆起くんをっ。それでも私は彼を愛してるんですっ。だから、彼を日本中で追いかけて、30億の借金の責任もっ、私に対する愛の責任も負わせて欲しいんですっ!!」


乙姫セリカの迫真の演技に、テレビの中で乙姫セリカを応援していた聴衆が叫ぶ。


うおおおおおおおおおおおおおおっ。


「伊藤を追えっ。伊藤を追えっ。伊藤を追えっ。伊藤を追えっ。伊藤を追えっ」



そして、そのテレビを観ていたときに、バタンと山荘のドアが乱暴に開いた。



「伊藤っ!!!! 見つけたぞっ!!! お前を乙姫セリカに対する詐欺罪で逮捕する!!!」


警察が僕らを追っていた。


僕は母さんの手を取って、二人で逃げ出した。


「母さんっ。逃げようっ。二人でどこまでも」


「・・・ええ!!」

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