閑話 乙姫セリカ
SIDE 乙姫セリカ
アイドルだから人を好きになるのは節制していました。
うちは元々貧乏で、私は容姿だけは優れていて、うちの8人兄弟を支えるためにがんばってアイドル活動していました。
恋なんてできない。
したら、人気がなくなって、私たち家族が食べられなくなるから。
私の体はファンのためのもの。
すべてを犠牲にしても、人気者になって家族を支えるんです。
ただ、あるとき、伊藤くんの動画を観たんです。
必死に小さな男の子が、すごい大きなモンスターと戦っていました。
女の子を守るために。
私はそれを見て、胸がキュンとしたんです。
何度も何度も、その動画を見直しました。
それで、その男の子を応援したくなったんです。
調べてみて、私と同じ片親だってわかった。
だから、私は伊藤くんを応援します。
どんな手を使ったって、私は伊藤くんの味方です。絶対にヒーローにしてみせる。
私の全力でどこまでも私は伊藤くんを応援します。
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