4・強引に奪われる
羅生王は帝王の座を持つ凶悪な禍々しい悪魔にも捉えられる竜で、エルスガンの皇帝だった。
5000年以上平気で生きるという竜の生息をそのまま生かして気分で作った帝国アルファザス。
その皇帝の座に座りながら、日々の退屈を紛らすために暴れまわって、それを部下の鬼人たちに始末させる日々。
そんなときに、隣の竜谷の王、自分より長く生きる白泉王が襲い掛かってきた。
白い銀龍で、羅生王が産まれる前から王であり、竜の王と言われている、この世界を統べる女の竜だ。
法政帝と言われるその美しい白い竜はこの世界の頂点を支配する輪廻をつかさどる聖なる竜だった。
なにかと白泉王は羅生王に干渉して来ては、羅生王の好き放題を邪魔し続ける。
やれ、人を喰ってはならぬ。
やれ、残酷なことをしてはならぬ。
羅生王にとっては憎くてならぬ仇敵。ただ、やたらと巨大で強靭でなかなか倒せぬ相手。
それが白泉王だった。
20年に及ぶ魔界での戦いの中で、白泉王は羅生王を追い詰めて、その体に消えぬ呪いを残して去った。
「お前は女から愛されることを覚えなければ、暴れまわるだけで死ぬ。それがわらわの呪いじゃ」
その呪いを付された羅生王はむやみやたらに暴れまわり、制御が効かなくなった。
自分で信じられないくらいの怒りが身のうちに宿って来て、暴れるのを繰り返す。いや、下手をすると、
自分すら傷つける感じで暴れまわるのだ。
100数十年自分の領地で暴れまわるのを繰り返した羅生王は仕方なく旅に出て、自らを愛することができる女を探した。
だが、どこに行っても女は羅生王の美しい、人の容姿を隔絶した神の造形物のような姿を愛するが、それでも、呪いが解けなかった。
羅生王はそのたびに女を殺して、食べて旅を続けた。
愛というものが分からなかった。それは羅生王の羅刹の生き方には存在しない考え方だった。
白泉王はその白い竜の体で、羅生王の喉笛に噛み付いて呪いを付すときにこう言ったのだ。
「愛を知るのじゃ。羅生王。もう、おぬしは齢を5000を超える竜じゃろう。命の理を知らねばならぬのじゃ」
それが、白泉王の刻みつけた、いのちの呪いだった。
「・・・で、お前を俺は見つけたわけだ。エステル。お前は俺を愛することができるか? できねば死ぬが?」
酷薄に笑いながら、羅生王はもう一度エステルの唇をまた強引に吸った。
その爬虫類のようなするどく禍々しい黒い瞳が光って、闇を映してたゆたった。
その低くて、闇の底から響くような声には人を惑わす魔晶の魅力が感じられた。
その美しい羅生王の顔がドアップで間近にエステルの顔に迫って来てきて、接合した。
キス
くちゅ、
「うっ・・・」
だが、エステルは4度目の唇を吸われると、どうしても抗いがたい快楽が体が
羅生王に吸い付いてしまうような感覚を覚えた。
そして、その大きく黒々しい体には抗いがたい、人を屈服して支配させてしまうような
恐ろしい甘味で狂暴な魔力が備わっているように思えた。
だが、そこでエステルは気持ちを振り絞って羅生王から思い切って体を無理矢理に
引きはがし声を上げた。
「だめですっ! 私はあなたを愛することなんてできないっ」
それは必死に欲望に抗おうとするエステルの純真な16歳の娘の必死な抵抗だった。
その言葉を聞いた途端に、羅生王のきれいな絵で描いたような弓型の眉がピクリと動いた。
不快な顔をしてもどこまでも美しい顔の男だった。その容姿はまるでルビーに溶け込んだ黒いアメジストのよう。
まるで人間を超然としたきらびやかで残酷な美しさがその顔には宿っていた。
不快げに眉をしかめて羅生王は言う。
「ほおっ・・・これだけのほどこしをやってやったというのに、俺を愛せぬというか、女」
「や、」
引きはがされた体をずいと近づけて、羅生王は抗おうとするエステルの小さな肩を掴むと、
そこから首を掴んで、上に向かって強く強くつり上げた。
吊り上げられて上に持ち上げられたエステルは苦しくて息ができない。
そのエステルの細い首筋が羅生王の冷たく大きな手に吊り上げられ、
あがけども、あがけどもどうすることもできない。
「あううぅ、」
「女、あまり俺を舐めるでないわ。俺は気の短い残酷な竜だ。愛せぬというならば、殺すが?」
「あっあ、あっ」
吊り下げられて引き揚げられてエステルはたまらなくなって喘いだ。
「あっ、あっ、ああっ、あっ」
そのまま軽く弄ぶように手を動かす羅生門だ。エステルはそのたびにたまらなくなって、声をあげる。
苦しい、、、ひどく苦しい・・・体が・・・バラバラに壊れてしまいそう。
男の人に力で征服されるのってこんな感じ。
エステルは抗うようにメチャクチャに体を動かすがビクともしない。
どうしようもなくなって、エステルはたまらなくなって声をあげた。
「おねが、、、おねが、、、やめてぇ」
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