第12話 良い鯉の基準
7月になると、地元の新潟では、選別と呼ばれる生まれて2か月くらい経過した
錦鯉の良し悪しを見て残す鯉と外す鯉を分ける作業が始まる。
この選別約3回に分けて行われるが、最初の1回目の選別作業は、数も多く、見わけも難しいため、一番大変といわれている。
「いや~手伝ってくれて助かるよ!」
「いやいや、兄貴の頼みじゃ無下にも断れんし」
「まあ、今日は親父の作った鯉だからお前のほうがよくわかるだろうし」
「どうだかな」
俺の父親が、兼業で作っている紅白の選別作業。
兼業といっても親鯉から自分で血統を作って、代々生産していることもあり、意外と本格的にやっている。
そもそも、親鯉や系統によって残す鯉の選び方は変わる。同じ人間が選別をしても、
親鯉を理解しているか、その親鯉の系統や血統を理解できていないと3年後に残る鯉は1匹もいなくなる。
親父は目利きというよりも自分の鯉をよく知っている。何を残すとどうなるのか。兼業のくせに、親父の鯉を親鯉として、血統を割ったり加えたりするために、わざわざプロが買いに来る。
一番楽しみにしている選別作業でぎっくり腰とは。まあ、まだまだ池は残っているし、この池くらいはいいのかな。
「相変わらず、兄貴は選別が早いな。」
「早いだけだよ、仕事でも選別するし、その基準で選んでると親父の鯉だと残す鯉が違うから、基準に達しているのが少ない。それだけだよ。」
「そういうもんかね。まあ、親父の目指す鯉と兄貴が目指す鯉は違うからしょうがないか。」
「良いのいたか?」
「まあまあ。これは?」
「そういうのは、趣味の鯉だな。売り物にはならない笑」
「じゃあ残すわ」
「それで良い。鯉なんて、仕事にしたら、そういうのがなくなるのはつまらんよ。自分にだけわかる楽しさと美しさがあれば良いよ」
「そんなもんかね。」
「そんなもんだね。」
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