幸せの在り方
砂上楼閣
第1話
私よりも早く虹の橋を渡るあの子と、少しでも長く居たいと思うのはエゴですか?
か細い声で私を呼ぶあの子を少しでも長く生かしたいと願う私は残酷ですか?
時折震える小さな体を温めて、なでて安心させてあげるのはいけないことですか?
最期の瞬間を共に過ごしたいと思うのはおかしいですか?
1日でも、1分でも、1秒でも長く生きていて欲しいと真剣に願う私は滑稽ですか?
痩せて、衰えて、まともに歩けず、好きだったオモチャももう見えなくて…
トイレだってちゃんとできずに漏らしちゃう、何かが怖くて夜中に鳴き叫ぶ、そんなあの子は汚いですか?哀れですか?
別の子に変えればいいとか、どうせまた新しくかうんだろうとか、長く苦しませるなんて無責任だとか。
心無いのは私の方ですか?
天国とか、虹の橋の向こうにいるあの子たちの幸せを祈る私は気持ち悪いですか?
言葉も通じないのに話しかけるのは変?
命を金で買ってる?
娯楽で命を弄んでる?
私はあなたたちの言う事が理解できません。
出会いの形、接し方、心と体の距離感。
どんな形であれ、種族が違っても、私たちは家族。
家族の最期を看取りたいと思うのは、死んだ後も想い続けるのは、おかしいですか?
あなたたちにとやかく言う資格なんてない。
あなたたちにとやかく言われる謂れはない。
何年経とうが、私はあの子たちのことを忘れないし、想い続ける。
縁で結ばれて出会ったなら、最後まで責任を持つ。
寂しい思いをさせてしまうかもしれない。
自由を制限してしまうかもしれない。
あの子達を想ってやってることはエゴなのかもしれない。
それでも私は、いつだって後悔しながらも、あの子たちと一緒に生きてるんだから。
少しでも幸せになってもらいたい。
元気な姿から私も元気と幸せをもらって生きてるから。
上辺だけのあなたたちの態度に、薄っぺらいだけのご高説なんて薄寒いし時間の無駄。
私は幸せだし、幸せにしてみせるから。
だから横から口を出さないで。
知りもしないのに手出ししないで。
私たちは幸せです。
幸せの在り方 砂上楼閣 @sagamirokaku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます