53.おじさん、牧場に戻る

[ジサン:アクアリウムを設置したいのだができるか?]


 ジサンは牧場前のフロアに着くと、すぐにダガネルにメッセージを送る。

 彼は神出鬼没なので、自分から会いに行くことは難しい。


[ダガネル:あら? 帰っていたのですね。アクアリウムの設置、もちろん可能です。海洋エリア付近に設置しましょうか]


[ジサン:頼む]


[ダガネル:OKです。すぐに設置します]


[ダガネルがアクアリウム委譲の承認を求めています]

[承認しますか?]


[はい]



 ◇



「おぉ……!」


 ジサンは思わず感嘆の声をあげる。


「すごいですね! マスター!」


「おぅ……」


(……想像以上にしっかりした設備だ)


 海洋エリア付近には、まるで水族館のような建造物が出来上がっていた。


 無骨な巨大水槽一つと想像していたジサンは思わぬ結果に内心大喜びする。


「中に入ってみますか?」


「お? おぉ……!」


 どこからともなく現れたダガネルに誘われ、中に入ることにする。


 ◇


(うおぉおおおおお……!)


 中の設備も素晴らしい。


「うわぁあ! すごいですね! マスター!」


 中型水槽エリア(といっても十分大きい)は美しい水草みずくさでデザインされた幾つものケージが設置され、見ているだけで心癒される。

 淡水と海水の両タイプがあるようだ。


 海洋エリアの巨大水槽は海の底を表現するかのような岩や珊瑚が設置されている。


 だが……


「でも何もいないですね、マスター」


「お、おぅ……」


 サラの言う通り、水槽には生体がいなかった。


「ふふ、それはこれからの楽しみじゃないですか? 今いる海洋モンスターも入れることができますが……」


「なるほど……」


「アクアリウムの副次効果として、水生モンスターであればアクアリウムに収容可能な範囲でモンスターBOXの500上限の枠を超えて、テイムすることができますよ」


(なんと……! 尚更、アレを入手しなくてはならないな……)



 ◇



 ジサンは次に配合施設へと向かう。


 実のところ向かわなくてもメニュー上で実施可能なのだが、せっかく現地に来ているので施設内で配合を行うことにする。


(……まずは……)


 ==========================

 ■フェアリー・スライム ランクO

 レベル:70


 HP:1237  MP:496

 AT:530   AG:723


 魔法:エレメント、メガ・ヒール

 スキル:まとわりつく、硬化タックル、妖精の歌

 特性:液状

 ==========================


 カスカベ外郭地下ダンジョンで入手したPランク、Qランクモンスターを素体として、フェアリー・スライムの限突配合を行う。


 フェアリー・スライムはその緩い見た目とサイズ感からどんなシーンでも使いやすいという特徴から濃いメンバーの中で貴重な存在である。

 優勢配合をした結果、想定外の姿になることを恐れ、ジサンはフェアリー・スライムに関しては姿を変えずに育てていくことにしたのである。


 ==========================

 ディクロ        ランクR US

 フレア         ランクQ US (精霊)

 シード         ランクQ US (精霊)

 デリケート・ドラゴン  ランクO+2

 フェアリー・スライム  ランクO+2

 ドミク         ランクO US


 US:ユニーク・シンボル

 ==========================


 現在、ジサンがわりと頻繁に使役するモンスター達である。

 言ってしまえば”お気に入り”達である。


 なお、ユニーク・シンボルは配合ができない代わりに、ランクに関わらず元からレベル上限がないようだ。


 そして本日のメイン・ディッシュ。


 非ユニーク・シンボルのランクRをテイムした時から決めていた。


【優勢配合】

 デリケート・ドラゴン(ランクO+2) × ベヒルス(ランクR)


 配合不可メッセージは表示されない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る