第27話 お兄様!頑張ってね!
「おいおい、和也さんよぉ。新しいガールフレンドか?」
「従兄弟だよ」
「最近、お兄様の彼女ガチになりました!愛実と申します!」
「コラ、私の和也くんを取らないの」
「NTRとはこのことですね?ニヤニヤ」
「結構えぐいこという子なんだな。しかも、朝からこのレベルの単語は俺でもきついぞ」
「知ってる、、、」
今日は4人で学校まで登校することになった。
大人数で登校していると、結構目立つんだな、、、。
少し何かを学んだ気がした。
「君たちが今日からうちの学校に通う子たちかな?」
服の上からも見える筋肉。
特に大胸筋が主張が激しい体。
「校長!服着てください!」
「最近、持っているスーツが全て入らなくなってね(笑)」
「なるほど、それは仕方ないですね」
「というか、隼人じゃん。いや、仕方なくないから!」
「肩にちっちゃい重機乗っかってんのかーい!」
「何それ、褒め言葉なのそれ!?」
ご機嫌な校長を目の前に、ハイテンション組3人ローテンション組3人の一対一の割合になったところで、場は急激に落ち着いた。
朝から本当に騒がしい。
「あ、校長。今日も大腿四頭筋が決まってますね」
「え?俺だけ?筋肉の名前覚えてないの」
「大丈夫、和也。俺もわからないから」
などに春人と距離が縮まった。
こっち側の人間が一人いてくれることによって、だいぶ周りと接しやすくなった。
「で、君達が例の子たちだね?」
「「はい」」
「ようこそ、篠原へ!」
「「よろしくお願いします!」」
こうして、二人は篠原に入学したのであった。
★☆★☆★☆★
ーーー選挙当日。
出馬者が各々の気持ちを持ち、戦う。
今回の出馬者は5人、4人が会長狙いだ。
「あ!生徒会長剥奪された会長じゃないですか!見に来たんですか!度胸すごいっすね!あははは!」
「勝、そこらへんでやめときなよ」
「普通に考えて面白いぞ(笑)」
「ぐぬぬぬ、、、言い返さない、、、」
先輩を煽って快感をえる勝を見て、俺は苦笑いした。
いや、普通に目の前でこんなことされると、反応に困るってものだ。
「勝のおかげで、嫌な緊張から解けた気がしたよ、、、」
「俺のテンションが全てかき消してやるぜ!」
「あはは、、、」
今回の敵は大物揃い。
生徒会長候補者2名と1名は親が大金持ちの人。
俺を含め、4人の出馬者が体育館の舞台袖に待機していた。
なんだこの、ギスギス感。多分、美鶴ちゃんがいなかったら死んでる!
お互いを睨み合うその姿はあまりにも醜く見えたが、これも選挙と考えれば、おかしくないことなのだろう。
この空気感を無理やり受け入れることにした。
「私たちなら勝てる!」
「まぁ、謎の自信はさておき、今回は俺も勝てる気がする」
「その気持ち、大切にしよ!」
いつでもニコニコな美鶴。
こういう時でも冷静なのは、取り柄だと思っている。
ところが、本人はそうでもなかった。
ーーー本当に緊張してきた、、、!
美鶴の緊張度は初配信の時以上であり、あれ以上のプレッシャーをかけられることも、人生でなかったので、めちゃくちゃ緊張している。
というか、セリフが全部飛びそうだった。
ーーー教室でカンペ作っててよかった!
「お兄様頑張ってね!」
「ちょ、ここは関係者以外立ち入り禁止区域です!出てください!」
「転校2日後にそんなことしていたら、悪目立ちするぞ?早く自分の席に戻りなさい」
「アイアイサー!」
「元気だけはいいんだから、、、」
こうやって応援してくれる人がいて、俺は幸せなんだな。
誰かに愛され、期待され、時には悲しまれ、俺の人生に欠けていたもの全てがここ何ヶ月かで、俺の元にきている気がした。
ーーーこんな人生送らせてもらっているんだ、しっかりしないと。
『それでは、北条和也さんの演説です』
「北条さん!準備お願いします!」
俺は美鶴にぎこちないウインクを一回。
すると、本物のウインクが返ってきた。
「じゃあ、行ってきます」
「頑張ってね!」
ライバルの視線が、俺の背中に無数に刺さった。
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