夏空へ突き刺さる

八木辰

夏空へ突き刺さる

五月雨や棚で吠ゑたるゴジラあり




沈黙の乱反射なり梅雨の道




水面の夢に揺れにしハンモック




夏空へ鳩羽ばたきて突き刺さる




牛蛙鳴きて浮き立つ夜の瘤




雨憎し尺取虫の視点から




リボンよりてんたう虫が離陸せり




口笛に応ゑてみせよ蛍殿




泥の下蝉はまだまだとぼけたり




素裸の学徒座したる男子校




短夜をなるべく長く走りおり




打水の巻き添えにあふ塾通ひ




七色の水中眼鏡紐切れり




空蝉をビニル袋にぎつしりと




我が首はオーデコロンを知らざりき




風吹きて汗になりゆく氷菓子




茄子漬の歯応ゑに知る命かな




ゲーセンを離れて畦の月涼し




深呼吸したる夏山盛り上がる




夏果や暴走族へクラクション

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夏空へ突き刺さる 八木辰 @tsugikisakura

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