ワールドゲームー悪鬼は生を実感する。

お寿司丸

プロローグ 悪鬼

とある山奥の豪邸。時刻は深夜の2時半。外は雷雨。


豪邸にある広間に、一つのテーブルがあり、そのテーブルを4人が囲むように席についており、その横で一人の黒服が宅を見守っている。


彼らが今やっているのは麻雀。


一人は豪邸の主の部下、年齢は50中頃だろうか。グレーのスーツに白髪混じりの黒髪の中年男。もう一人は単なる高校生、身長は高く華奢、どこにでもいそうな青年。


今夜の勝負はこの二人のサシ勝負。あとの二人は単なる数合わせにすぎない。


雷の鳴る音と、天井にうちつける雨の音、そして4人が順番に山から牌をつもり、切っていく音だけが聞こえる。


そして静寂の中、その時は突然訪れる。


「ツモ…。」


中年の男は顔色ひとつ変えずに牌を倒し、すぐに胸元から煙草を取り出して口に咥え、宅にあったライターを使い火をつけ、深く吸ってから煙を大きく吐いた。


そんな中で、横で見ていた黒服が倒された牌を見て言う。


「リーチ、一発、ツモ、タンヤオ、ドラ2…、跳満…。決着です…。」


決着。今この瞬間、青年の点棒3100は親の6000オールで消し飛び、0となった。つまるところ青年の負けだ。


「何か最後に言い残すことはあるか?」


中年男が青年に尋ねる。だが青年は無言だ。


「はっ…、クズがっ…。さっさと連れて行け!」


中年の男はテーブルから離れたところにいた別の黒服にそう言った。


中年男の指示に従い、黒服たちが青年の腕を掴み、連行していく。


勝負が行われた部屋を出て、長い廊下を進み、青年はベットが一つだけ置かれた部屋に連れていかれた。


部屋には一人の黒服の男が手袋をして、注射器を手にしている。


その黒服の男は両腕を掴まれた青年をベッドに座らせるように指示して、青年がベッドに座るなり、すぐに注射器を首に刺した。


青年は意識が徐々に失われていき、遂には完全に気を失った。

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