第13話 うどん

「これいや。うどん、作って」


 ある日を境にお姉ちゃんはうどんを食べるようになった。あんなに好きだった、チーズご飯も魚も、絶対に食べない。例外は納豆だけだ。


「好きなご飯だよ、食べて」


 ままの食材にまで気を使った料理は見向きもされず、レンチンでできるうどんが選ばれる。妹ちゃんも真似をして、うどんばかり食べる。


「なんということか」


「これほど美味なるものをの」


「二人のために作っているわけじゃないのに」


 ままに声をかけられない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る