第10話 おしり

 ままのお腹にはおしりがある。死産したとき、緊急帝王切開をしたからだ。それから美人姉妹を同じ場所から産んだ。ぼくは誇りに思っている。


 姉妹はそれをおしりと思っている。最近、妹ちゃんがごしごしとよく洗う。ついでにぼくもお腹を洗われる。


 ままのお腹を3度動いた、かわいい子どもたち。ずっと覚えている。エコーのときに顔を見せてくれていたことも、ぽこぽこ元気よく動いてくれていたことも。何もかもが、今、起きたように覚えている。


 今日もまたおしりをさわって、姉妹は笑顔だ。そして、ままも二人のおしりが大好きなのだ。ぼくはおおっぴらには言えないけれど、4人のおしりが大好きだよ。


 ささっと、ひかるがおしりを隠す。今はまだ誰も触らない。少し寂しそうな、ひかる。

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