第3話 異世界転生②
多少強引そうな感じはしたが誠実そうな人だし、
何より自分には選ぶ余地など無かった。
蒼君の誘いに了承の返事をしようするとその前に話しに割って入ってくる人がいた。
「お話中ごめんなさい私聖女なんですが、私のパーティあと二人空きがあるんですが、
よろしければパーティを組みません?」
私聖女の人は一瞬私を蔑むような視線で見ると蒼君をパーティに誘った。
聖女の後ろには、一番最初に私に声をかけてきた男子生徒とロン毛のプライドが高そうな男子生徒がいた。
バランスの良いパーティって言われたけど顔のバランスで選んでるのかも知れない。
女子生徒は、聖女だけみたいだし、ハーレムパーティでも作りたいのだろうか。
確かに改めて見ると蒼君は足も長くモデルのように格好良い。
「誘ってくれてありがとう、でも俺達も三人いるんで無理かな」
「三人ってそこの女含めて三人?」
「そうそう、琴音さんって言うんだけど是非ともパーティを組みたくてね。
逃がすつもりは毛頭ないけど」
そこの女は、どうやら自分の事らしい、更に言えば蒼君は私を逃がすつもりは毛頭ないらしい。
色々衝撃を受けた。
「そこの女の職業は知っているの?
錬金術師よ、それに比べて私は聖女。
どちらの方が役にたつかはおわかりよね?」
「それを言ったら俺もただの騎士見習いだし、もう一人も剣士見習いだよ。
聖女にあった上級職の人は他にいると思うんでごめんね」
「後悔するわよ」
そう言い残すと自尊心を傷つけられた為か、私を睨んで聖女は立ち去っていった。
「ちょっと邪魔が入ったけどパーティ組んでくれるかな?」
「はい、よろしくお願いします」
何故に錬金術師をそこまでパーティに入れたいのか分からないけど、
ここまで熱心に誘われて断る選択は無かった。
「蒼、決まったか?」
「竜司、待たせてごめん、今決まった」
「そうか、後二人はどうするんだ?」
「うーん、出来れば魔法攻撃ができそうな良さげな人がいれば良いんだけど」
蒼君の後ろから茶髪で少し気が強そうな男子生徒が声をかけてきた。
蒼君は、魔法使いが必要らしい。
私は周りを見渡すと直感の様に一人の女の子が目についた。
「蒼君、もしかしてあの娘は魔法使いかも知れない」
「琴音さん、ありがとう声かけてきてみるね、二人ともここで待ってて」
言うが早いか、直ぐに蒼君は女の子に声をかけに行った。
遠くからなので声は聞こえないけど、時折女の子が頷いているので上手くいってるみたいだ。
「皆おまたせ勧誘に成功したよ」
「詩(うた)と言います、職業は魔法使いです」
詩さんの挨拶にそれぞれ挨拶を返した。
正直こんなに美人で胸も大きい娘が炙れていたのは不思議だったけど、
詩さんが大人しい性格なのに加えて、
聖女の周りを男子生徒が囲んでいたので何となく理由を察した。
「後一人はどうするかな」
「もし良ければ、俺をパーティに入れてくれないか?」
蒼君がひとり言を言って悩んでいると、ボソッと小さな声で話しかけて来た。
一見すると陰キャっぽいけど、
良く見ると中肉中背で顔立ちは意志の強そうな切れ長の目をしていた。
「職業を教えて貰って良いかな?」
「職業は盗賊」
「おお、待ってました、皆この人をパーティに入れて良いよね?」
女子二人は直ぐに頷いた。
「蒼がリーダーやるならいいぞ、このパーティ全員お前が勧誘したんだしな」
「いや竜司は、どちらにせよ俺にリーダーやらせる気だろ」
竜司君の返事に蒼君は、すぐさま突っ込んだ。
だけどリーダーは蒼君以外いないと言う意見は全員同意だったので、
なし崩し的にリーダーは、蒼君にお願いした。
時間切れであぶれ者同士のパーティを覚悟していたが、
気がつけばかなり時間を残してパーティに入る事が出来た。
待っている時間に当たり障りない程度に自己紹介と雑談をして時間を待った。
当初は一時間で戻って来ると言っていた年上の人達は、
どこかで様子を見ていたのか、それより随分前に広間に再度集まった。
「まだ、パーティを組めていない者はいるか」
立派な鎧を着た男性の言葉に五人が手を上げる。
その五人は暫定的にパーティを組み説明を受けるように指示されて広間から出ていった。
本来であれば、自分があの中にいる予定だったと思う。
私達には、京(みやこ)さんと言う女性が付いて説明してくれるようだった。
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