第22話

 街には沢山の店がある。その一つ一つに目をやると、同じ果物屋でも種類が被らないように工夫がされている。武器屋、道具屋、雑貨屋と順番に周り必要な物を揃える。


 俺は、ちょっとやってみたい事がありバッグが売られている店に入る。魔物の皮で出来ていてとても軽く丈夫なバッグを買った。俺が、やってみたい事というのは【マジックバッグ】を作ることだ。この間、究極のレシピを見ていたら作り方が載っていて挑戦してみようと思ったからだ。レシピはまだ途中しか読んでいないが、俺の持っているスキルで十分できそうだと感じている。応用の時間停止や使用者制限などはまだ無理だと思うけど、挑戦してみてもいいかもと思っている。




「それじゃあ、やってみるかーーー!!」



 まずは、どれくらいの大きさにするかをイメージする事が大事だ。三十メートル四方くらいの大きさをイメージしてみる。すると、バッグが一瞬光ったかと思ったら目の前に【マジックバッグ】と書かれていた。



「よっしゃーー!出来たー!次はこれに付与を足すんだけど出来るかな~」



 究極のレシピで確認すると、時間停止には水魔法と火魔法を付与して出来るみたいだが、これもちゃんとしたイメージが大事らしい。ただ単に水魔法と火魔法を付与しても時間停止機能はつかないみたいだ。


「イメージか。冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいまま。食べ物は、そのままの状態をイメージって事かな?」



取り敢えず、そんな感じでイメージをして付与魔法をかけてみる。

また、マジックバッグが光り鑑定をしてみると【時間停止機能付マジックバッグ】と書かれていた。



「やったーーーー!出来だぞーーー!」


 出来たばかりのマジックバッグをみて歓喜しているが、このマジックバッグがとんでもないアイテムであることと、そのとんでもない偉業を成し遂げてしまったことをいまのハルトは知る由もなかった。

 何故なら、マジックバッグを作れる人は国内でも三人しか居らず作れても、二メートル四方がやっとだったりする。それは、作る人がちゃんとした作り方を理解していないからだったりする。そして、時間停止機能を付与出来るのは世界中を探してもハルトしか居ないのだ。



 「これ、売ったらどれくらいになるのかな?魔導具屋に行ってみるかな?」



 魔導具屋でマジックバッグを見てみると、大きさによって値段が違う。




•マジックバッグ(小):金貨5枚


•マジックバッグ二メートル四方:大金貨5枚


•マジックバッグ三メートル四方:大金貨10枚


•マジックバッグ二メートル四方(時間停止機能付):白金貨100枚




「えっ!?二メートル、三メートルでこの値段?ヤバくないか••••••••。」



俺は、店の店員さんに聞いてみることにした。



「あのー。マジックバッグで聞きたい事があるんですけど。」



「はい!なんでしょうか?」



「マジックバッグ何ですけど、大きさってこれしかないですか?」


 俺が、大きさに付いて聞いてみると店員さんが怪訝な顔をした。



「そうですが、それが何か?」



「マジックバッグで、三十メートル四方で時間停止機能付ってどれくらいの値段なのか聞きたくて。」



俺の話を聞いていた店員さんが急に笑い出した。



「あっはっはっ

は。お客様、冗談を言わないでくださいよ!ダンジョンで見つかったマジックバッグ時間停止機能付ですら最高が二メートル四方何ですよ?それが、三十メートル四方って~」



どうやら、俺はとんでもない物を作ってしまったらしい。



「あはは。そうですよね~。因みにもしそれがあったらいくらぐらいになるのかな~?」



「あっはっは!も、もしですか?そんなの値段になりませんよー!国宝級ですから!すぐに国王に献上されちゃいますよ!」



「••••••••••••••••そ、そうですか。ありがとうございました••••。」



 俺は、お店をでて自分が作ったマジックバッグを見つめながらアイテムボックスにしまった。



「次は自重しよう••••••。」

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