連作『秘密基地跡地』
瑞浪透
第1話
応答はなくてもいいよ 秘密基地跡地のぼくより愛をこめて
虹色に光るべくしてぼくたちの日々はDVDに焼かれる
空間と時間のはじまりのような花火の色に染まるはつなつ
青い服が似合うよ袖や襟首に覗く全ての君が眩しい
右向けと言われて右を向くような君が女だとは知らなかった
よそ行きの辛さ・苦しさ・悲しさを君に紹介してあげる夜
唇が濡れればいいの 涙でも雨でもあんなやつのキスでも
セックスの時は明かりを消すくせに黯い男は嫌いなんだな
竜巻を地球のへその緒と呼んだ母がわたしを産んで
ああここは間違いですか 珍しく君が笑っているものだから
幸せだった日々を忘れるころにまたぼくは幸せになれるだろう
昨晩の雨とお前の愛とやらで散った桜を見に行かないか
殺してもよみがえる猫 もう一度殺した、それが九度目だった
本を読み終えてはひとつ悲しみがぼくのものではなくなっていく
さよならを教えて ぼくはひとりではないからいつか使う日が来る
この世界では君を殺してその肉を食うのが悪いことだというの
神、そんなやつもいたよな ぼくはもう星も見えなくなってしまった
君が死ぬ夢を日記につけてから何故だか晴れ続きだ、嗚呼
心臓のようなランプで「危ない」とぼくに教えてくれる踏切
母さんへ お金がなくて困ってる人を助けてあげて バイバイ
連作『秘密基地跡地』 瑞浪透 @Toru_MZNM
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。連作『秘密基地跡地』の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます