混沌の騎士と藍碧の賢者 設定集

水無月 氷泉

登場人物:ラディック王国編

一部ネタバレ要素も含んでいます。ご留意ください。

本編を読み進めたうえで、ご覧いただくことを推奨します。


登場人物は随時追加、既存の紹介内容も加筆修正していきます。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



★イオニア・ラディアス・フォン・エーディエム二三世

四十六歳、身長百八十セルク


 エーディエム家は代々にわたって、赤みと黄みを帯びた髪と瞳の色を有する。


 現ラディック王国国王であり、二十年前におよそ八十年にわたるリンゼイア大陸全土を巻き込んだ戦乱を終わらせた優秀な賢王でもある。


 妻と四人の嫡子がいる。妻リュシエンシアは故人、嫡子ちゃくしは上から長男、長女、次女、三女で、王位継承順位もこのとおりとなっている。


 子煩悩ぼんのうで、とりわけ三姉妹のことになると、途端に公務そっちのけとなってしまうところが玉にきずといったところだ。



★リュシエンシア・セシエ・ラ・ファーレフィロス

故人・享年二十六


 イオニアの妻であり、セレネイアが五歳の誕生日を迎えた日に亡くなった。


 国民には死因は病のためとしか発表されておらず、真実を知る者はイオニアを除けば、ごくわずかしかいない。


 ファーレフィロス家の血を受け継ぐ者で、長女として生まれる者には秘められた謎がある。リュシエンシアは長女であったものの、幸いにも発現はしなかった。



★セレネイア・メーレ・フォン・エーディエム

十五歳、身長百六十セルク、スリーサイズは→恥ずかしいことを聞かないでください(本人談)


 イオニアの嫡子で長女、第一王女と第一騎兵団団長を務める。


 瞳は淡青たんせい色、同色の長い髪は背中辺りまで自然に流れている。髪にはちょうをかたどった髪飾りをしている。諸事情により、今は彼女の手元にない。


 低位メザディムとの戦いで髪を切り落とされ、今では肩にかかる程度の長さになっているものの、その美しさに揺らぎはない。


 三大流派の一つ、ヴォルトゥーノ流の下位流派筆頭カヴィアーデ流の剣術を学ぶ。一方でラディック王国の正統剣術流派はこちらも三大流派の一つ、ビスディニア流であり、セレネイアはこの両派を組み合わせた独自の剣術を武器とする。


 ただし、ビスディニア流を使いこなすには至っておらず、最大の欠点は膂力りょりょくの足りなさにある。


 ファーレフィロス家の血の秘密を受け継ぐ。



★マリエッタ・レネア・フォン・エーディエム

十三歳、身長百五十六セルク、スリーサイズは→ふざけているのですか。燃やしますわよ(本人談)


 イオニアの嫡子で次女、第二王女を務める。


 瞳は桃花とうか色、髪も同色で肩辺りまで自然に伸ばしている。今は先代レスカレオの賢者ことルシィーエットに近づきたくて紅赤べにあかに染め、背中辺りまで伸ばそうとしているが、なかなか伸びてくれない。


 魔力保有量は王族とは思えないほどに図抜けており、賢者にも匹敵するぐらいだとも言われている。上述したルシィーエットに心酔しんすいしており、彼女を魔術の師とあおぐ(弟子を自認しているものの、貴族嫌いのルシィーエットは公認していない)。


 別名、炎に愛されし魔術師見習い、見習いの文字が取れる日は訪れるであろうか。


 長女セレネイアと三女シルヴィーヌにはさまれているせいか、比較的性格はおっとりしていて、口達者なシルヴィーヌにいつもやりこめられている。


 シルヴィーヌと顔を合わせると喧嘩になるが、それもまた仲のよい証拠、ことに恋愛話になると目の色が変わる少女らしい面も見せる。


 普段は動物が大好きな、年齢相応の可愛い少女である。



★シルヴィーヌ・リーレ・フォン・エーディエム

十歳、身長百五十セルク、スリーサイズは→教えてほしいのですか。多大な見返りを要求します(本人談)


 イオニアの嫡子で三女、第三王女を務める。


 瞳は橙黄とうおう色、髪は瞳よりやや薄めの同系色で、長さはセレネイアとマリエッタの中間ぐらい、両横と後ろをっている。その結び目には彼女の好きな花飾りを挿している。花飾りには秘密が隠されている。彼女がそれを知ることはない。


 年齢以上に、しっかり者だと多くの家臣から認識されている。二人の姉の前でのみ甘えん坊の一面を見せる。あざとさと可愛さの両面を持ち、しっかり使い分けができる。


 頭脳明晰で、時には宰相さいしょうモルディーズでさえやりこめる。剣に優れた長女セレネイアと魔術に優れた次女マリエッタのちょうど中間、剣も魔術もそれなりに扱える。


 彼女の最も特筆すべき能力は魔術制御と魔術融合であり、これにより二人の姉の足りない部分を補えることになる。


 実のところ、三姉妹の中で最も将来有望と思われている節もある。


 唯一ゆいいつの弱点が高所で、昔から二人の姉にしがみついて離れないぐらい大の高所恐怖症でもある。



★ヴィルフリオ・アパラシス・フォン・エーディエム二三世

十八歳、身長百七十七セルク


 イオニアの嫡子で長男、第一王子であり立太子りったいしの儀を執り行ったことで次期国王と定められている。


 年齢のわりに子供じみていて、世間一般の評判もかんばしくない。イオニアに比べて暗愚あんぐ、側近たちに甘やかされ、おだてられて育ったためか、傲慢ごうまん傍若無人ぼうじゃくぶじんなところも目立つ。


 ゼンディニア王国との昨今の関係悪化は、彼が交換留学時代に起こした事件が要因だったと言われている。その事件の真相は三姉妹には伏せられている(後に知ることになる)。


 王宮に隠された秘密の封印を、操られていたとはいえ解放してしまった張本人でもある。これらには全て特段の事情があるが、それらが語られることは現時点で予定はない。


 最終決戦前に一大決心をし、皆の前で公表することになった。



★モルディーズ・ドゥ・カルディアット

四十歳、身長百七十八セルク


 文官最高位の宰相さいしょうとしてイオニアの治世を支えている。妻と二人の娘がいる。


 カルディアット家は代々宰相を務める由緒ある家柄で、彼の父アレイオーズも、その父もまた有能な宰相として王国を支えた。


 ラディック王国の地形や地質をほぼ完璧に把握している。いわば地質学オタクである。説明を始めた途端、周囲の者たちは完全に引いてしまうが、本人だけは何のそので延々と語り続ける。


 宰相を辞した後は、どこかで地質学の講師をしたいとひそかに目論もくろんでいたりする。ルシィーエットになかば冗談で誘われた時は、天にも昇る気持ちだったとか。



★アレイオーズ・ドゥ・カルディアット

六十四歳、身長百七十セルク


 モルディーズの父、前宰相を務めた。


 晩年、不幸にして魔霊鬼ペリノデュエズ依代よりしろとなってしまい、命を落とす。レスティーによって倒されるも、最後に息子モルディーズと別れを済ますことができた。



★クルシュヴィック

三十六歳、身長百八十八セルク


 第一騎兵団副団長を務める。武器は両刃長剣で右利き。貴族出身、妻と娘が一人いる。


 前第一騎兵団団長であり、自ら進んでセレネイアを第一騎兵団団長に推挙した。第二騎兵団団長のタキプロシスとは公私にわたって友人関係を築いている。


 ウーリッヒに目をかけ、第一騎兵団で預かることを決めた。いずれは自身をも超えるであろう逸材と認め、厳しくも温かく見守ってきたが、魔霊鬼ペリノデュエズに身体を乗っ取られたウーリッヒを救うため、自らの身体を差し出し、依代とされてしまった。


 その際、魔霊鬼ペリノデュエズに心の深淵しんえんのぞかれ、セレネイアへの想いを利用されてしまう。


 ディランダイン砦の戦いにおいてレスティーに倒され、解放される。同化には至らず、命だけは助かった。現在、最終処分が下されるまでディランダイン砦において軟禁されている。



★タキプロシス

三十七歳、身長百八十セルク


 第二騎兵団団長を務める。武器は片刃長剣で右利き。妻と息子が一人いる。


 腕前はなかなかのものがある。少々自信過剰なところがあり、クルシュヴィックやホルベントからたしなめられるも、なかなか改善されない。魔霊鬼ペリノデュエズに対しては及び腰であり、その行動が部下からの信頼を揺るがせている。名誉挽回なるか。



★バンデアロ※現時点で登場なし

三十歳、身長百七十七セルク


 第二騎兵団副団長を務める。武器は両刃長剣、右利き。



★ハクゼブルフト

二十七歳、身長百八十三セルク


 第三騎兵団団長を務める。武器は槍で右利き。独身で両親、年齢の離れた弟と妹が一人ずついる。弟も妹もハクゼブルフトに憧れ、騎兵団に入団し、正騎士を目指している。


 クレラスピクと呼ばれる魔術付与された全長およそ四メルクの長槍を意のままに操る。ラディック王国内では並ぶ者なき槍の達人でもある。


 まだ若いものの、部下思いで判断力にも優れている。タキプロシスを飛び越して、次期第一騎兵団団長に最も近い位置にいる。



★ペリオドット

二十五歳、身長百八十セルク


 第三騎兵団副団長を務める。武器は槍で右利き。独身で両親がいる。


 ハクゼブルフトを支える優秀な副団長として団員からの信頼も厚い。次期第三騎兵団団長が確実視されている。


 槍術ではハクゼブルフトに叶わないまでも、自らが編み出した複数の槍を同時に扱う特殊槍術を得意としている。



★ホルベント

六十五歳、身長百七十三セルク


 第四騎兵団団長を務める。武器は両刃戦斧で右利き。妻がいる。一人息子は戦死。


 騎兵団最年長で数多あまたの戦場をけ抜けてきた歴戦の雄である。また騎兵団の良心とも称される。周囲からは敬意と親愛の情をもってホルベントおうと呼ばれる。


 これまで多くの仲間を戦場で失い、見送ってきた。中でも最愛の一人息子ヴァイアッドを亡くしたことは彼の心に深い傷を今なお残している。本来であれば、彼こそが第一騎兵団団長を務めるべきところを固辞し続けている。



★ギジェレルモ

二十一歳、身長百七十九セルク


 第四騎兵団副団長を務める。武器は片刃長剣、片刃戦斧で右利き。独身で両親と弟が一人いる。


 ビスディニア流下位流派のアレドゥミナ流剣技を学ぶ。最年少で副団長に抜擢された逸材でもある。


 第一騎兵団所属のウーリッヒとは同期(年齢はウーリッヒが一歳上)で公私にわたって仲がよい。団長ホルベントを敬愛し、その悲しみを誰よりも知る。



★チェリエッタ

二十九歳、身長百六十九セルク


 第五騎兵団団長を務める。武器は片刃長剣で右利き。独身で両親ともに他界、年子の妹がいる。


 セレネイアが第一騎兵団団長を務めるようになるまで、騎兵団唯一の女団長だった。


 騎兵団における女団員の在り様について積極的に改善を求めて提言、イオニアやモルディーズに対してもおくすることなく要望を出してきた。


 まだまだ男女同権とは言えない騎兵団ではあるものの、チェリエッタが入団した当初に比べれば、はるかによい方向に進んでいる。



★ムリディア

二十五歳、身長百六十二セルク


 第五騎兵団副団長を務める。武器は片刃長剣と片刃短剣の二刀使いで左利き、右も左同様に使える。独身で両親と弟が二人いる。


 副団長では唯一の女で、小柄ながら二刀使いで並みいる副団長内でも引けを取らない強さを誇る。


 騎馬の扱いにけ、疾走しっそうする馬から馬へと飛び移るなど、身の軽さが特徴でもある。


 昔から夜空を見上げ、星の動きを眺めるのが好きだったこともあり、専門ではないものの天文学に明るい。その知識をレスティーの要請に応じて皆の前で披露した。



★ケイランガ

二十七歳、身長百八十六セルク


 第六騎兵団団長を務める。武器は弓で右利き。独身で両親と姉、妹が一人ずついる。


 プルフィケルメンと呼ばれる魔術付与された全長およそ二メルクの大型弓を扱う。全体に軽量化の魔術が付与されている。


 第三騎兵団団長のハクゼブルフトとは同期、武器こそ違えどその実力は伯仲はくちゅうしており、彼もまた次期第一騎兵団団長候補として期待されている。



★ランブールグ

二十九歳、身長百九十セルク


 第六騎兵団副団長を務める。武器は弓で右利き。セオトドス大陸の出身で妻と娘、息子が一人ずついる。


 ケイランガを支える優秀な副団長で言葉数が少なく、必要最低限のことしか語らない。控えめな性格が災いしてか、過去に団長抜擢の話が何度かあったものの、実現いしていない。実のところ、今の副団長が気に入っているため、本人は望んでいない。



★オストロム※現時点で登場なし

三十二歳、身長百九十二セルク


 第七騎兵団団長を務める。武器は両刃長剣で右利き。



★メレデントス※現時点で登場なし

三十二歳、身長百八十二セルク


 第七騎兵団副団長を務める。武器は片刃長剣で左利き。



★ノイロイド

三十三歳、身長百九十一セルク


 第八騎兵団団長を務める。武器は弓で右利き。右同様に左でも弓を引ける。妻と娘が二人いる。


 頭脳明晰で冷静沈着、戦場での状況分析にけている。


 坑道での戦いでは、窮地きゅうちのハクゼブルフトたちを魔術付与された弓を用いて救った。魔光矢まこうやを好んで扱う。



★エヴェネローグ※現時点で登場なし

三十歳、慎重百八十五セルク


 第八騎兵団副団長を務める。武器は膂力を生かした長弓で連射を可能とする。



★アメリディオ※現時点で登場なし

二十九歳、身長百九十三セルク


 第九騎兵団団長を務める。武器は長細剣で右利き。



★システンシア※現時点で登場なし

二十三歳、身長百六十二セルク


 第九騎兵団副団長を務める。武器は片刃長剣で左利き。



★ウーリッヒ

二十二歳、身長百七十六セルク。


 第一騎兵団正騎士を務める。武器は両刃長剣で右利き。独身で両親と弟、妹が一人ずついる。


 平民出身で騎兵団員選抜試験に三度目の正直で合格した。クルシュヴィックも認める逸材だったが、心の隙を魔霊鬼ペリノデュエズとらえられ、依代とされてしまう。


 クルシュヴィックを殺そうとするも、魔霊鬼ペリノデュエズの心変わりで身体をあっさり捨てられ、結果として操り人形と化してしまった。


 ディランダイン砦の戦いにおいて精神干渉を切られ、命を落とす。亡骸なきがらはディランダイン砦に丁重に葬られた。



★カランダイオ

年齢不詳、身長百九十一セルク


 宮廷魔術師団長を務める。国王イオニアとの主従関係はない。ゆえに一時的な宮廷魔術師でしかない。


 本来の立場はレスティーの配下であり、主物質界不在時にラディック王国を監視する役目を負っている。


 魔術師としての技量は賢者にも匹敵する。大規模魔術を単独で行使できる貴重な存在で、その真なる力はいまだに見せたことがない。


 レスティーの配下にいついかなる状況でなったかは明かされていない。



★ヴェイリーン・ザラード・アムンゼン

三十七歳、身長百七十セルク


 カルネディオを統治する現領主で、代々続く伯爵位の貴族である。


 でっぷりと太った身体に、あぶらぎった皮膚、つやを失った栗色の髪を無造作に肩近くまで伸びしている。


 ラディック王国法で禁じられている奴隷売買に手を染めている。無抵抗な女をなぶることに生き甲斐を感じるくずである。


 カルネディオ城を禁忌きんきの魔術によって破壊され、業火ごうかに焼かれて死んだ。



★フルトゥナ・エベレント

四十五歳、身長百八十三セルク


 ヴェイリーンに仕える執事長で奴隷売買を実質的に取り仕切っている。ヴェイリーンの目的が女なら、フルトゥナの目的は金であり、様々な手段を用いて取引を行ってきた。


 カルネディオ城を禁忌の魔術によって破壊され、業火に焼かれて死んだ。

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