第3話 『名探偵とつゆくささん』 


 あるひ、廃墟の散策に来た、親人類派名探偵、赤血小次郎は、つゆくささんに言った。



 『つゆくさは、ひるには


   しぼむ、さだめなら


     人の世の 往時はしらぬ


           はかなさよ。』   



 すると、つゆくささんがこたえた。



 『探偵は、やみにまぎれる


       さだめならば


        明るみににては


         しぼみおり。』  



 赤血小次郎は、はげしく、つゆくささんを、けとばした。




 『けとばしても


       つゆとも おもわぬ


           つゆくさ にくし。』



 すると、つゆくささんが、また、答えた。



  『さにあらず


       たにんのいたみ

 

        つゆともおもわぬ


         ひとこそ あわれ。』



 名探偵は言った。



   『たにんの いたみ


      みな わかっていたら


         せいぎは ならず』



 つゆくささんの下には、コー・キューリ・ヨー・テー星人の攻撃により破壊された、赤血小次郎の故郷である、都の廃墟が眠っている。彼のパトロンたちの亡骸も。


 

 『くに やぶれても


      つゆくさあり


   ひとは くにで いきるにあらず


      くには ひとでいきるなり。』




 『しかり、


    ただし、ひとは しゃかい をなす


      したのいたみ


         うえにはわからぬ


            さだめなり。』




 あくまで、すれちがう、名探偵と、つゆくささんであった。


 名探偵、赤血小次郎は、また、歩き始めた。


            

 


 



 

  


 

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