第3話 『名探偵とつゆくささん』
あるひ、廃墟の散策に来た、親人類派名探偵、赤血小次郎は、つゆくささんに言った。
『つゆくさは、ひるには
しぼむ、さだめなら
人の世の 往時はしらぬ
はかなさよ。』
すると、つゆくささんがこたえた。
『探偵は、やみにまぎれる
さだめならば
明るみににては
しぼみおり。』
赤血小次郎は、はげしく、つゆくささんを、けとばした。
『けとばしても
つゆとも おもわぬ
つゆくさ にくし。』
すると、つゆくささんが、また、答えた。
『さにあらず
たにんのいたみ
つゆともおもわぬ
ひとこそ あわれ。』
名探偵は言った。
『たにんの いたみ
みな わかっていたら
せいぎは ならず』
つゆくささんの下には、コー・キューリ・ヨー・テー星人の攻撃により破壊された、赤血小次郎の故郷である、都の廃墟が眠っている。彼のパトロンたちの亡骸も。
『くに やぶれても
つゆくさあり
ひとは くにで いきるにあらず
くには ひとでいきるなり。』
『しかり、
ただし、ひとは しゃかい をなす
したのいたみ
うえにはわからぬ
さだめなり。』
あくまで、すれちがう、名探偵と、つゆくささんであった。
名探偵、赤血小次郎は、また、歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます