第27話 『闇展開』何とか回避したのよねぇ……。


 『W・V・F』(ウエストヴォイスフィールド)事務所


 「オイっ、翔也っ! とりあえず蓮のオンナ車でいてきたぞー♪」 


 まるでドライブスルーに寄ってハンバーガーを食べた様な軽い口調で龍也は言った。


 「蓮を轢こうとしたら、オンナがかばってぶつかってやんの、死んだな、ありゃ♪ ギャハハハハ〜ッ!」


 「……」

 翔也は兄の狂気的な言動に言葉が出ない。


 「え〜っと、次はっと、コイツかっ! 

コレさぁ、……本人ヤるより、オンナさらって本人の目の前でヤッちゃった方が面白いんじゃね?」


 龍也はタブレットに写ってる画像を見ながら舌なめずりをして、


 「ヨシッ! オマエらこのオンナさらって来いっ!」

 

 入り口に並んで立っている、いかにも悪そうなヤツらに言った。


 「へっへっ♪ 楽しみだなぁ、翔也!」


 翔也は兄の卑猥な笑顔に震えが止まらなかった。



 ※※※



 事故から三日が経ち、沙樹の意識も戻って話が出来る位に回復した。


 蓮の事を気遣って堀船社長は、後回しに出来そうな仕事は全て日程をずらしてくれ、蓮はつきっきりで看病をした。


 「もう、大丈夫だから仕事行って、蓮っ、大丈夫よ、ホラもうっ♪」


 そう言って沙樹は無理に力こぶを作って、笑った。


 そしたら蓮がボロボロと涙を流して、


 「何言ってんだ! まだ体中痛いだろっ、足だって骨折してるし……」


 優しく、腫れ物を触る様に抱きしめて、


 「ゴメン、俺を庇ってこんな目に……、一生かけて償うから!」


 みるみる沙樹の顔が赤くなり、


 「ばっ、バカっ それじゃまるでプロポーズみたいじゃないっ!」


 「あつっっ……♡」


 蓮は沙樹の唇を塞いで、


 「俺は付き合う事になった日から、そのつもりだよ」


 「……ありがと、蓮♡」



 ※※※



 俺は朝十時あさじゅうからのアフレコを終えて、次の仕事までは少し時間があるので沙樹の見舞いに向かった。


 今日はなんと社長が麻里の事をボディーガードしてくれるみたいだけど、……あの二人、どういう関係だ?


 ……まさか隠し子? それとも元カレ?


 胸がザワザワしながらも病院に着き、沙樹の部屋へ入っ……っ!!


 「……んんっ♡ はあっっ……ん」


 「……ん?」


 目を開けた沙樹と目が合った。


 「ごっ、ゴメンっ!! 何も見てないからっ!!」


 急いで扉を閉めた。

 ふぅ〜っっ、……てか何やってんだ、昼間っから!


 すぐに蓮が扉を開け、

 「バ、バネ太っ、……のっ、ノックくらいしろよなっ!」

 

 バシっ!

 泣いた後みたいに目が潤んだ蓮に頭を叩かれた。


 「いってぇなー、もう!」


 「でも沙樹っ、それだけイチャイチャ出来れば元気って事でいーんだよな?」

 

  ボフッッ!!

 

 枕が飛んで来て俺の顔面にヒットした。


 「あはははっ!」

 「ふふふっ♪」


 「なんか『ピンク』色の空気だから澄んだ空気に入れ替えなきゃなー♪」


 俺は持って来た花を花瓶にして、窓を開けて空気を入れ替えた。


 「もうっ、バネ太ったらっ!」


 沙樹は顔が赤いまま続けた。


 「私ね、かれる寸前に助手席に翔也の兄キが乗っていたのがチラッと見えたのよ! 噂じゃかなりヤバい奴だから、バネ太、気をつけなさいよっ!」


 蓮も続けて、

 「お互い、何かあったらすぐに連絡を取り合おう、あっ、あと麻里ちゃんもな」


 「ああ、麻里は今日、社長が一緒に居てくれてるから平気だ!」


 俺の言葉に、露骨に目を逸らした沙樹。

 ん、……何か知ってるな? コレ


 「沙樹、……オマエ俺になんか隠してるだろ?」


 俺が目を細めて聞いた。


 「そっ、そりゃ、隠し事の一つや二つ、誰にでもあるでしょ……」

 

 沙樹は枕で顔を隠して。目だけはこっちを見て言った。


 「社長と、麻里って……、昔、付き合ってたとか?」


 ブブーッッ!!


 蓮が飲んでたミネラルウォーターを盛大に吹き出した。


 「なっ、何言ってんだバネ太っ! 王子さんは麻里の……っ……っ!」


 「蓮っ、オマエ何か知ってるのか?」

 俺は蓮に詰め寄って、肩をガシッと掴んだ。


 蓮が沙樹を見て、沙樹が『ウンウン』と頷いてるのを見て話し始めた。


 「麻里ちゃんの親父さんは王子さんの二個上で、小さい頃からの遊び仲間、いわゆる『幼馴染み』だったんだ。それでお互い年を取っても仲が良いのは変わらず、やんちゃな事もいっぱいしてたみたいなんだ。……麻里ちゃんのお母さんとは中学の時から付き合ってたみたいで、高校卒業と同時に親の反対を押し切って結婚、既にお腹の中には麻里ちゃんがいたみたいなんだよね」


 そこまで一気に喋った後グビっとミネラルウォーターを飲んでいると、今度は沙樹が続けた。


 「麻里ちゃんが十歳の時にお父さん、事故で亡くなってね、それから社長はお母さんに援助して、麻里ちゃんの成長をこっそりと見守っていたのよ」

 

 「社長……っ! だから麻里は社長の事知ってたのか!」


 

 「社長からしたら麻里ちゃんは娘みたいなモノだから、気になるんでしょ? そういう事よ、コレ、麻里ちゃんには内緒にしててよっ!」


 沙樹に人差し指をピッと立てられて口止めされた。


 「なんだぁ、良かった! ちょっとオレ疑っちゃったよ!」


 「アハハハ ハハハッ!」

 「ふふふっ♪」


 俺がホッと胸を撫で下ろしてる姿を見て、二人は笑っていた。


 そんな和やかな空気の中、俺のスマホが鳴った。


 「翔也っっ!」


 俺はスピーカーをオンにして通話ボタンを押した。


 「バネ太、……せんぱい」

 「オマエっ、何の用だっ! 沙樹をこんな目に遭わせてっ!」


 「すいませんすいませんっっ、それより先輩の彼女がっ!」


 「何っ! オマエ麻里に何したっっ!」


 「龍兄ぃが彼女さらっ……ウグっっ」

 ボコッ バキッ


 『テメー何チクってんだぁぁあっっ?』


 グシャッ!


 ツーッ、ツーッ…………


 何だ、……なんだなんだっ?

 衝撃的な電話に思考が追いつかない。


 「ヤバいぞ、バネ太っ! 麻里ちゃんが危ないっ!」

 「社長も襲われてるかもっ!」


 二人の叫ぶような声でハッと正気に戻る。


 「俺っ、助けに行って来るっ!」



 第28話につづくーっ!




 ※※


 「「「桜蘭舞ちゃんっ! 助けにきたぞーっ!」」」


 桜「ンッ、ンンゴーッ!(みっ、みんなーっ)」

 『カクヨム』の仲間が助けに来てくれた。


 桜「みんなぁ、ありがとうっ!」

 

 黒桜「ちっ、『お友達ごっこ』なんてやってんじゃないわよっ!」


 「「「違うぞ、黒桜蘭っ! 俺達は『カクヨム』を楽しむ『仲間』なんだっ!」」」


 桜「嬉しい〜っ! ありがとー!」


 黒桜「今日の所は引き下がるけど、……覚えてなさいっ!」


 そう言って姿が消えた。


 「「「コレで、『闇堕ち展開』ナシだなっ!」」」


 桜「うんっ♪」

  「ハッピーエンド目指して頑張るっ!」


「「「それじゃー、コレは俺達からのプレゼントだっ! 受け取れっ!」」」


 桜「♡や★が、……こんなにいっぱい!」


「「「ちゃんとフォローもしとくぜっ!(キラッ)」」」


 ♪読んで頂きありがとうございました♪

 

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