第18話 たまには男だけの回も、あっても良いと思うのよねぇ……。
あれから数日、天は全国ツアーのリハーサル、合間を縫ってのゲームの収録やラジオ出演、いつ寝てるんだって位の忙しい毎日を送っていると沙樹が言ってた。
結構落ち込んでたみたいで心が痛むが、それでも最近は笑顔も増えて、ツアーに向けて気合いが入ってるみたいだ。
天と入れ替わる様な形で蓮が加わり、四人で相変わらず夜中のコンビニをたまり場としていた。
※※※
そして蓮が加わってから数日が経ち、いよいよ明日はラジオの公開生放送のイベントだ。
今日はいつものコンビニじゃなく、予約していた個室のダイニングバーで決起集会だ。
王子社長のお気に入りのこの店、ここは個室もあるし、お酒の種類も豊富で食事も美味しいから、俺も昔はよく足を運んでいた。
今日は、俺と社長、それに蓮と蓮の事務所の社長の
「いよいよ明日だな、バネ太! 会場は即日完売だし、有料配信の方も売れ行き好調らしいぜ! ……オマエの『新しい声』、広めるいい機会だなっ、オイッ!」
俺の肩をバンバン叩いて上機嫌の蓮。
……お前、酒、好きなクセに弱いよな。
俺は明日に備えて酒は控えめにして、この店特製の窯焼きピザと、シーフードドリアに舌鼓を打った。
「それより王子、『双子の魂今どっち?』どうやら打ち切りが決まったらしいな?」
蓮の事務所の社長の堀船さんとウチの社長は旧知の仲だ。
「ああ、翔也のヤツ、ネットを散々荒らした挙句、後輩のタレ込みで翔也の指示だったのがバレたみたいだからな、…………おまけにパワハラがあったとか言われて、今は姿隠してるらしいぞ。……ちょっと業界の印象悪いよな? せっかく作画良かったのに勿体ないよ」
社長が堀船さんにワインを注いで溜息をついた。←韻を踏んでる✨
そしたら堀船さんが待ってましたと言わんばかりに、
「だろ〜っ? ……って事でさ、俺、昨日原作者に連絡つけて許可貰ったんだ! オイ、ちょっとアレ、見せてやってくれ」
堀船さんがマネージャーに言うと、鞄の中から台本が出てきた。
俺と蓮は台本を手に取って見て、……俺達は顔を見合わせて、そして堀船さんを見た。
「コレは、……『双魂』の台本じゃないですか?」
「どうしたんです、コレ?」
ニヤリと悪い顔をして笑った堀船さんからとんでもない言葉が!
「お前ら、明日の朗読劇でコレ、やってみないか?」
はぁ? どういう事?
「……って言うか、何でわざわざそんな事やらなきゃいけないんだよ?」
蓮が面倒臭そうな顔をして熱々のラザニアをハフハフいいながら食べ、聞いてきた。
そしたらマネージャーが、眼鏡の真ん中を中指の腹でクイッとしながらニヤリとして、
「ココで上手い事やって評判良かったら、アニメの主人公の声差し替えするんだよ!」
「えーっっ?」
「マジかよっ?」
続けて堀船さんが、
「このまま、あの作品を打ち切りにするにはあまりにも勿体無いって事で、主人公の声だけ差し替えて作り直そうって話が出てるんだ! 原作も人気だし、作画も綺麗だっただろ? …………そんな中で、明日のお前達の掛け合いが話題になれば、自然と役がまわって来るだろ? 何事も『先手必勝』だよ!」
流石は社長、そう言う所は抜け目ないな。
「……まぁ、台本読みながらやれるし、間違えたってアドリブで誤魔化せばなんとかなるっしょっ!」
蓮があまりにも軽く言うので、なんだか俺も何とかなる気がしてきた。
「そうだな、気楽にやるかっ♪」
こうして俺達は、思わぬ形で明日のイベントの朗読劇で『双魂』をやる事になった。
てか、……こんなの知ったら翔也、発狂するんじゃないの?
第19話に続くよー
※※
麻里「オトコ臭っ、草っ、www」
沙樹「天ちゃん居なくなって、今回女性陣セリフなしとか、……バカなの?」
桜「だからこうやって女子会開いてるんじゃないっ!」
桜「さぁ、さぁっ! 何か面白い事言って盛り上げて〜っ!」
沙樹「そんな飲み会の席でオヤジが言う様な事言わないでよっ、もぉ〜っ!」
沙樹「麻里ちゃん! 『協定違反』したんだから何かやりなさいよねっ!」
麻里「そ、それじゃ『ホイッスルで何言ってるか当てるゲーム』やりますっ!」
麻里「ピピピピー、ピーピピピー!」
「ピピピっ、ピピピピピピピピーっ!」
沙樹「ホシクレー、ハートクレー!」
「ミンナっ、イナクナンナイデーっ!」
麻里「♪ピピピピピピピ ピピピピピ ピピピピピピ♪」
♪ヨンデイタダキ アリガトウ ゴザイマシタ♪
滑ってるわね……盛大に。
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