第16話 神回の後はゴミ回(ホントの神回はこっちかも知れないのよねぇ……)


 「先生っ、桜蘭舞先生っ! また『カケヨメ』やってたんですかぁ〜?」


 「もぉ〜っ、担当さんっ! 『先生』とかやめてよぉ〜!『麻里』でい〜のにぃ、……だって私、『カケヨメ』大好きなんだもん♡



 ※※※



 私、『桜蘭舞』こと、上中里麻里。


 小さい頃から物語を『カク』のも『ヨム』のも大好きで、高校生になって電車通学の時にたまたま見つけたweb小説サイト『カケヨメ』


 凄い凄いっ! こんなに沢山の人が書いてるの?


 私も、……書いてみたいな。


 そんな軽い気持ちで書き始めた『ちょっと聞いてよ清澄くん』が大好評!


 え〜っ、ウソでしょ? 書籍化っ!

 更にはコミカライズ!!


 高校卒業と同時に担当さんが付いて、まさかの憧れだったプロ作家になったんだぁ♪


 

 ※※※



 「そんな事言うなら、そろそろ私の事も『担当さん』じゃなくて『カドカワ』の……、『カドちゃん』って呼んでよ!『麻里ちゃん♡』


 「じゃ、じゃあ『カドちゃん』さん!」

 「……それで、どーしたの?」


 「あっ、そーなの! ビッグニュース! 『清澄くん』にアニメ化の話が来てるのよっ!!」


 「えぇっっ! ホントですかぁ?」

 私は目を丸くした。


 「そーなのよ! 清澄くんや白河さんが喋って動くのよっ! しかもちょうどワンクールで収まりそうだから、ラストまでやれそうだしねっ!」


 「もぉ〜っ! 夢みたいだよっ、ありがとうカドちゃんさん♪」

 思わず抱きついちゃった!


 「麻里ちゃんが頑張ったからだよ〜!」

 そう言って頭を撫でてくれた♡


 「で、勿論オッケーするわよね?」

 

 私は腕を組み、人差し指を顎に当て、


 「う〜ん、じゃあ『清澄くん』の声を、『赤羽亮太』さんにお願いしたいの!」


 ……実は、私、彼の声をイメージして書いたんだ。ふふっ


 それが叶えばなんだっていいわ!


 嬉しいなぁ、バネ太が本当に清澄くんになるなんて!



 ※※※



 「麻里ちゃん、この方が監督の浮間舟渡さんよ」

 

 「桜蘭舞さん、俺も赤羽くんの声の大ファンなんだ! 頑張っていい物にするつもりなんだが……、作画が……」

 

 えっ、なんで?


 「頼んでいた制作会社から急にキャンセルが入って、代わりに今、急成長のゲーム会社の傘下で『ウエストバード』って会社に代わったんだ」

 

  B1ピクチャーズって聞いてたから、作画楽しみにしてたのになぁ、残念。


 ま、いっかー


 ※


 な、なにコレ?

 

 白河さん、……何でこんなに顔、違うの?

 動き、……なんか滑らかじゃなくない?


 「監督さんっ、どーゆー事っ?」


 「すまない、……桜蘭舞先生、こっちも何回もリテイク出してるんだけど、全然ダメで……、今、俺の顔の利く制作会社に声をかけまくってるんだけど、時間が無くてどうしようもないんだ」


 ひっ、ひどいよー!

 

 ※


 そして作画崩壊のまま放映開始。

 ネットでも凄い叩かれてるよー!


 『作画崩壊、ナニコレ?』

 『動きカクカクじゃね?』

 『こんなの白河さんじゃないっ!』


 えっ? ……何で私の事まで?


 『原作者のサクランって、出しゃばりだよなぁー? しかも声ヲタだって!』

 『バネ太無理矢理ねじ込んだらしいよ!』


 『しかも見た?「カケヨメ」のエッセイ』

 『最初はウブなフリしてしおらしく書いてるけど、最近はオタク全開で気持ち悪いのよねぇー』


 『自分家のペットのイッヌ、「彼ピ」とか言ってんだぜ! キモっ』

 『近況ノートもくだらない事ばっかり書いて、調子乗りすぎなんだよなぁー』


 いやぁ〜! なんで? 何でよ!

 私は楽しく『カケヨメ』したいだけなのにぃ〜!

 ひどいよ〜ょ〜ょ〜ょ……〜🌀


 「桜蘭舞先生っ? まりちゃんっ!」


 ピーポーピーポー🚑



 ※※※



 ここ、は、……ドコ?


 気がついたら私は病院のベッドにいた。

 何故ここにいるのか……よく覚えてないの。


 『清澄くん』も結局打ち切りになったみたい……。


 大好きで書いてた『カケヨメ』もヨム事は無くなり、あれだけ毎日書いてた近況ノートもカクのが怖くなってしまったの。


 書こうと思っても、あの時の私を非難する文字が頭の中に突き刺さり、体の震えが止まらない。


 もう……いいかな。

 カクの、……やめよう。



 ※※※



 それから三年が経ち、心の傷も癒えてきた頃、久しぶりにカドちゃんさんと再会した。


 「麻里ちゃん、実はね、編集部にこんなに沢山アナタ宛の手紙が届いてたの!」


 カドちゃんさんが持って来てくれた手紙には、

 『桜蘭舞先生、早く良くなってね!』

 『無理しちゃダメだぞっ!』

 『戻ってくるの、ずっと待ってます♡』


 中には清澄くんと白河さんのイラストまで!


 「カドちゃんさ〜ん! 嬉しいよぉ〜!」

 涙が溢れてとまらないの。


 「麻里ちゃん、私はアナタが『カク』日が来るの、ずっと待ってるからね! 書きたくなったら、いつでも連絡してね♪」


 また、……書いてみようかな?

 私は勇気を出して一歩を踏み出した。



 ※※※



 まずは引越し!

 そこから心機一転、また一から『カケヨメ』再開しよう!


 『桜蘭舞ちゃ〜ん、おかえり!』

 『また賑やかし、お願いねー!』


 あぁっ、みんなまだ居る〜!

 嬉しいっ! 『カケヨメ』のみんな、本当優しい♡



 ※



 あー、もう、せっかく新たな第一歩なのに朝から雨なの?


 引越しにも時間かかって……、片付けしてたら夜中になっちゃったよ。


 あぁ、お腹……すいたな。


 近くにコンビニとか、ないかな?


 雨の中、コンビニを見つけてお弁当、お菓子とビール♪ レジに向かう。


 

 「お弁当、……あっためますか?」




 第17話につづく



 ※※



 はい、私の分身こと麻里ちゃん(桜蘭舞)の過去が明らかになりました。


 お話しは終盤に入っていきます。


 バネ太と蓮のイベントはどーなる?

 翔也はこのまま大人しくしてるの?

 天、沙樹、麻里、恋の行方は?


 そして『武将ファイブ』のオーディション、声優アワードは?


 もう少しだけお付き合いくださいませ。

 よろしければ♡★フォローをお願いします。


 (今回は流石に恥ずかしいから大人しくします)



 ♪読んで頂きありがとうございました♪


 

 参考資料

 ちょっと聞いてよ清澄くん〜掃除は苦手だが料理は得意の年上オタク女子と掃除は得意だが料理は苦手の年下オタク男子のWINWIN生活〜


https://kakuyomu.jp/works/16817330650836702097

 

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