第16話 ホワイトルーク国の海

 ジョップは嫌がったが、滑空車にヘンリ女王を乗車させ、ホワイトルーク国への案内をさせた。

 モジャー・ソリスが「私も行く!」と言ったが、危険なホワイトルーク国、観光旅行は、完全服従させてからだ。


 ヘンリ女王の王宮を通過、北の海の視察だ。


 女王の案内で、荒波打ち寄せる岩場の海岸に到着した。

 滑空車から出たく無い! 吹き荒ぶ風は体感温度を実際よりマイナス10度は低く感じさせるだろう。


「この岩場では、アサリの様な貝は居ないだろう……ダメ貝なら岩に着いて居るかも…出たく無いがこの状態ではラチが開かん!」


 荒波の飛沫がかかる、濡れた身体から吹き荒ぶ風が体温を奪う。

「さむ!!」

 防寒着が欲しい! この状態で真っ裸では凍死する!!

 波に拐われない様注意して岩を調べた。



「何じゃこりゃ!! 小玉スイカ位のダメ貝が、岩にへばり着いている!」

 北の海は魚介類の発育が良いようだ、しかも誰も食べない物で育ち過ぎくらい育ってる。


 僕が嬉しそうに採取しているので、ヘンリ女王と緑色人ジョップもダメ貝を採取始めた。

 僕は手当たりしだい収納し、辺りのダメ貝は取り尽くした様だ。


 帰ろうかと思い、ふと沖を見ると巨大な鯨が浮かび上がり、呼吸をする様子が白く潮吹きしている様に見えた。


 咄嗟に巨大打ち上げ花火の水平撃ち、動かなくなった3発で倒せた様だ。

「ジョップ、滑空車であの鯨の所まで連れて行ってくれ」


 滑空車の扉を開け僕は手を伸ばす、ジョップが滑空車を鯨に近付ける「触れた!!」巨大鯨を収納出来た。


「大王ラオ様? あの巨大な海の魔物をどうされた?」

「収納した、ダメ貝も旨いが白流す鯨の旨さは絶品だぞ」


 ヘンリ女王の王宮に到着、集まる白猿人に4本腕の女達に。

「こちらのお方は、我がヘンリ王国の救い主、ラオ大王様だ!! 皆平伏せ!! ラオ大王様は緑色人グリンピース国に赤色人バルスム国、ブラックバード騎士国、全ての大王様で有る!! 今日からホワイトルーク国の大王にもなって頂く!! 何より我らに豊富な食料を与えて下さる!」


 豊富な食料に反応し大歓声が湧き起こった。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ウウォーーー!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 王宮広場に白流す鯨を取り出した。

 歓声が更に大きくなった。

「ジョップ、この腹を裂いてくれ!」


 ジョップはサクサク鯨の腹を裂いて行く。

「白流す鯨はデカイ身体だが、餌は沖アミしか食って居ない、変な物食って居ないので内臓も食べられる!」


 白猿人ども、銘々内臓を切り取ってそのまま食い出した。

 ビタミン補充のため、生食は必要なのだろうが、旨くないだろう? 勝手に食わせて置くが。

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