説明回(ゐ号計画書)


・【ゐ号計画書】


1. 概要


本計画書は、桜花征機による極秘プロジェクトの進捗と結果についての詳細を記述するものである。プロジェクトの主目的は、汎用アンドロイドに人格を投射し、疑似人格を造り上げ、"意思"を与えることである。以下、各部分について詳細に説明する。


1.1 人格投射技術

人格投射技術は、生身の人間の脳から人格を抽出し、アンドロイドに投射する技術である。この技術の科学的根拠は、人間の脳内に存在するニューロトランスミッターと呼ばれる化学物質のパターンを解析し、そのパターンをデジタルデータとして再構築するものである。


1.1.1 ブレインウォッシュ

人格投射の際には、実際の人物の脳をブレインウォッシュし、有害思想を除去する必要がある。このプロセスは、特殊な化学物質と高周波の磁場を用いて、特定の思考パターンを中和するものである。


1.2 意思の付与

ダンジョンの干渉能力を機械にも適用させるために、アンドロイドに"意思"を与える必要がある。この"意思"は、人間の自由意志に似た概念で、アンドロイドが自己判断で行動する能力を提供する。


1.3 実験体の選定

人格投射の際に使用する人格は、生体から抽出する必要がある。しかし実験体はほぼ廃人になってしまうため、日本にとって有用な人物を"使う"わけにはいかない。この問題に対して、現在は犯罪者や敵性外国人、または志願者から人格を抽出する方向で実験を進めている。


2. 結論

本プロジェクトは人格投射技術と意思の付与において一定の進展を遂げている。しかし倫理的な問題や技術的な課題が残るため、今後の研究と開発が必要である。


この報告書は極秘情報を含むため、関係者以外への漏洩を固く禁じます。



・【ゐ号計画書】に対しての政府高官の反応


『ゐ号計画書、改めて拝見いたしました。このプロジェクトに対する我々政府の立場は明確であります。現在の国際情勢、特に中国との関係においては暗闘が日に日に激化しており、我が国の安全保障に対する脅威が増大しているのは事実です。


このプロジェクトは、そうした状況下での戦略的な取り組みとして、極めて重要な意義を持っています。人格投射技術による汎用アンドロイドの開発は、戦場における人間のリスクを削減し、より効果的な戦術の展開を可能にすると期待されています。この点に対しては富士樹海ダンジョンという大きな内憂を国内に抱えるという現状においても有効に働くでしょう。


いずれにしても近い将来における武力衝突の可能性を前提とした上で、このプロジェクトの推進は避けて通れない道であると政府上層部としては判断しております。


倫理的な問題については十分に認識しておりますが、国家の存立と安全保障を最優先に考えるべき時期にあるとの認識です。このプロジェクトによって得られる技術的優位性は、国際競争における我が国の地位を強化するものと確信しています。


この報告書に基づき、プロジェクトの進展に対して全面的な支援を行う所存です。何卒、引き続きプロジェクトの継続的な成功に向けた努力をお願い申し上げます』

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